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    <title>虫たちの音楽会</title>
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    <published>2008-12-01T01:11:58Z</published>
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        <![CDATA[　日本では平安時代から、宮びとたちの間では、秋の虫たちの音を聞いたり、虫を飼って放したりして楽しむ風習があった。江戸時代には庶民の間にも伝わって、小さな虫の音にも耳を傾ける生活習慣が広まり今日に至っている。


　このようなことは外国にはないことで、日本人特有の情緒豊かなことを示している。人間は笑い、泣くという。猛獣は吠える。小鳥はさえずる。鳥は鳴くという。


　一方、花の場合は、桜は咲いて散る。梅はほころぶ、牡丹は落ちるという表現がある。魚は口から発音するのと、振動音もあり複雑だ。


　一般には鳥は鳴くというが、虫の場合は口で発音するのではなく、羽を振動して音を出すので奏でるということだろう。つまり、虫の音楽会は吹奏楽ではなく管弦楽である。バイオリンやアコーディオン、ときにはバンドネオンと多彩で、秋の夜のオーケストラでもある。


<img alt="kirigirisu_001.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/education/kirigirisu_001.jpg" width="340" height="255" />
<strong>キリギリス</strong>（写真提供／なおさん）


　日本では音を奏でる虫の種類は大別すると、コオロギ類、キリギリス類と類似のバッタの仲間である。その種は約１００種を数えるが、それは人間の耳でキャッチする範囲で周波数によって聞くことができないものも多いだろう。


　これらの虫たちは、晩春初夏の頃に卵から幼虫になり、立秋の頃から成虫になって鳴き出し、お彼岸の頃に最盛期を迎える。なかには夏の暑いさなかに、また年末まで鳴いているのもいる。一日の活動では、暗くなってから鳴きだす種類、昼も夜もよく鳴く種類、気温によって鳴く時刻が変わるのもいる。


　この虫たちの生活場所は、育つ環境や、餌や産卵場所によってそれぞれ定まっており、環境別に棲みわけている。湿地には、タンボコオロギ、草原にはエンマコオロギ、クマスズムシ、乾燥地ではミツカドコオロギやマダラスズ、林縁や林にはヒゲシロスズ、クチキコオロギなどが生息場所である。また草の上や樹上生活をするのが、マツムシ、クツワムシ、カネタタキなどである。


　有名なファーブルの『昆虫記』を読んだ人は多いが、虫はオーケストラを演奏する名人である。この音楽はテリトリーソングである。種単位の縄張りを主張しているという説がある。ところが哀愁をこめたバイオリンのように、オス、メスのラブソングもある。ガチャガチャとクツワムシのような威嚇音もあれば、リン、リンとスズムシのような心地よいリズミカルなメロディを奏でるのもいる。


　童謡にでてくる秋の夜長を鳴き暮らすウマオイやカネタタキ、マツムシ、カンタン、スズムシ、キリギリスなど、そのメンバーは多士済々で興味はつきない。


<img alt="DJ087.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/education/DJ087.jpg" width="245" height="300" />
<strong>キリギリス</strong>


　筆者が少年の頃は、どこの家でもカマドがあり、タキギを使っていたので、カマドの余熱で大型のカマドコオロギが越冬していた。時代が変わり燃料革命となり、電気やガスとなり、いつの間にかカマドコオロギは絶滅に向かった。調査によれば、別府や熱海などの温泉地には辛うじて生き残っているという。


　これらの虫たちの環境を守り、いつまでも虫の音楽会を楽しみたいものである。]]>
        
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    <title>ネコのヒゲは秘密兵器</title>
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    <published>2008-10-31T00:45:32Z</published>
    <updated>2008-10-31T01:24:35Z</updated>
    
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        <name>国府</name>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.dailytimes.jp/education/">
        <![CDATA[　イヌと並んでネコもまた、天気予報に使える賢い動物だ。「ネコが前足で顔を拭くと次の日は晴れ」「ネコが耳を掻いたら雨が近い」などの言い伝えは有名だが、どちらも確かにそのとおりになる。ネコもイヌなどと同様に巷の天気予報官なのである。


<img alt="neko.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/kokkaigiin/neko.jpg" width="213" height="300" />


　ところで、ネコは人間よりよっぽど立派な鼻ヒゲを持っているが、あれは伊達や酔狂でたくわえているわけではない。生きていく上に必要不可欠な道具なのだ。よく知られているのは、宙返りする時にヒゲでバランスをとることである。ネコはオリンピックの体操選手も顔負けの着地名人で、木や屋根から飛び降りてもケガをしない。地表に着く瞬間にヒラリと「ネコ返り」をするからだ。


　子どもの頃、いたずらで高いところからネコをポンと投げると見事なネコ返り回転をして平然としているのを見て、すごいなあと思ったことがある。しかし一旦、ヒゲを切られてしまうとウルトラＣが決まらない。バランスが崩れてネコ返りに失敗し大ケガをしてしまう。


　ヒゲにはもうひとつ、あまり知られていないが大事な役目がある。それはネズミを捕るための秘密兵器としての働きだ。ネズミはネコの好物である。たとえ暗がりでも、ネコはミゾの中を走るネズミを決して見逃さない。あんなにすばしっこいネズミをさっと飛びついて鮮やかに捕まえてしまう。


　この時、よく観察してみると面白いことがわかる。ねずみを狙うネコの鼻ヒゲが、ピカッとまるでレーザー光線のように光るのだ。ネズミはその光線に驚き、一瞬動きを止める。その瞬間、ネコは獲物に飛びかかる。つまりネコの鼻ヒゲは、殺人光線ならぬ、殺鼠光線を出す働きがあるのだ。


　だから、子どもがいたずらでヒゲを切ってしまったりすると大変なことになる。ネズミが捕れなくなり死活問題となる。もっとも最近のネコは、そうした天賦の才を十分に活用しているとは言い難い。ネズミを捕るネコの数はめっきり減ってしまったようだ。


　昔に比べて衛生状態がよくなってネズミの絶対数が減少したのも一因だろうが、最大の原因は、人間の飽食の時代を迎え、野良ネコでさえ労せずして人間の残飯が手に入るからだ。ネコにしてみれば、昔と違って、もはやあくせくネズミ狩りをする必要がなくなったのだろう。


　筆者が東京・銀座にいた頃は小型のネズミしかいなかったのに、今では高級レストランや飲食店も増え、３倍くらいの丸々とした大型化が進んでいる。ネコはネズミを見向きもしなくなり、一方、ネズミたちもネコを驚かなくなった。「窮鼠猫を噛む」の譬えどおり、ネコがネズミを見ると驚いて逃げる漫画のような時代となった。


　現在、国内のペットとして登録されているイヌは約８６０万頭、ネコは６３０万頭という統計がある。つまり、イヌ好き１０人に対し、ネコ好きは７人程度か。ネコとネズミの関係は崩れつつあるが、ネコは今でもイヌが手ごわい存在である。文明の発達で食物連鎖の世界も変わりつつあるということか。]]>
        
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    <title>サルとシカの平和共存</title>
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    <published>2008-09-30T22:09:38Z</published>
    <updated>2008-10-01T01:18:27Z</updated>
    
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        <![CDATA[　農産物を食い荒らされて困るという農家からみれば、カラス、イノシシ、クマなどであるが、サルとシカも例外ではない。たしかにその被害は甚大だという報道もある。しかし、よく考えてみれば動物の側にも反論の余地はあるだろう。それは人間が彼らの聖域である森や里山を乱開発して食料不足をもたらしたという見方もあろう。


　昨年、屋久島を訪ねた時につくづく考えさせることがあった。樹齢２０００年、３０００年という屋久杉、縄文杉で有名な世界遺産に指定されている。島の人口は約２万人、サルも約２万頭、そしてシカも同数の約２万頭である。中腹までバスで行くとサルの家族が毛づくろいをしたり、母親が赤ん坊に授乳をしていたりする。


　観光客を乗せたバスは彼らが立ち去るまで完全にストップ状態となる。シカも悠々と寝そべっていて人間を恐れない。動物の天国だと思っているのだろう。


　島の名産のポンカンがサルの好物で、毎年、被害にあう。そこで農家では電流を入れた電線を準備した。警戒していたサルたちは電流の強弱を知り、弱いところから侵入する。そこで犬猿の仲のたとえで、ミカン畑に犬を用心棒代りに飼ったところ、最初は驚いて近寄らなかったが、慣れてくるとそばに近づく。


　犬も孤独で淋しいのか、時が経つと次第に仲良くなってしまう。これには農家もまったくのお手上げだという。たしかに動物同士で平和共存の例は多い。


　三重県の場合は人口は１８６万人。サルは約６５００頭、シカは約２万２０００頭の生息数という。これには県の森林環境部や専門家の調査で的確なデータがある。サルの群れは移動するものの一群が十数頭から１００頭に及ぶ。一群を平均５０頭として計算すれば６５００頭となる。


<img alt="ニホンサル2.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/nichi/%E3%83%8B%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%AB2.jpg" width="300" height="211" />


<img alt="ニホンシカ2.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/nichi/%E3%83%8B%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%82%AB2.jpg" width="300" height="205" />




　サルは成熟して妊娠するのは、４、５年はかかり、数はあまり増えないのに対し、シカは生後２年で妊娠出産するので頭数は多い。寿命もニホンザルは１５年～２０年に対し、ニホンシカは、７、８年と短い。


　サルの撃退法については苦心の結果、花火を打ち上げるも効果なし、案山子を作っても知らん振り、サルと人類の知恵比べは、「去るものは追わず」「敵も去るもの」となる。それでもサルの群れはボスがいて、なわばりをつくって秩序を保っている。


　シカの場合は大きな集団は作らず、家族単位が多い。天然記念物に指定されているニホンカモシカがヒノキの新芽を食べるので駆除の申請が多い。専門家の調査では、ニホンシカが夜行性でよく食べていてニホンカモシカは歯型が違っていて、あまり食べていないことが判明した。


　三重県でも伊勢神宮の神路山をはじめ広大な神宮林は立入禁止となっており、サルやクマ、そしてシカの生息数は、シカと確認されていないのが現状である。野生生物は種によって食性も異なり、生息環境も違っている。そのため弱肉強食の世界とはいえ、サルとシカはお互いに平和共存のルールを守っているようだ。人間がその事実を認め、彼らの森や里山を乱開発しないことが重要だろう。]]>
        
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    <title>ムツゴウロウは恋のジャンプ</title>
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    <published>2008-08-31T23:55:49Z</published>
    <updated>2008-09-01T00:27:56Z</updated>
    
    <summary>　有明海は日本最大の干潟であり、面積は約７００平方キロもある。西は長崎、北は佐賀...</summary>
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        <![CDATA[　有明海は日本最大の干潟であり、面積は約７００平方キロもある。西は長崎、北は佐賀、東は福岡と熊本に囲まれている。ところが、最深部でも２０メートルほどしかない浅い海で潮位差は日本一である。大潮の時に干満差が５、６メートルにも達する特徴がある。


　その大潮の日の干潮時には、軟らかい泥の堆積した泥浜が広く現れる。潮が引くと、泥の世界はがぜん賑やかになる。シオマネキやヤマトオサガニたちが餌を食べ、オスはメスを呼ぶために大なハサミを振り続ける。干潟のひょうきん者トビハゼも顔を出し、それを食べようと水鳥たちも干潟に出てくる。その中に頭を左右にしきりに振って動く体長２０センチほどの魚がいる。これが有明海を代表するハゼの仲間のムツゴロウである。


　頭を振っているのは、干潟の表面に付着しているケイ藻を食べているので頭を振ってこすり取るためである。ムツゴロウは泳ぐのは下手であるが泥の上を動くのは実に上手だ。３０分から４０分ほど動きまわることができる。魚であるが皮膚呼吸ができるし、胸ビレは手のように使える器用さで魚というより両生類のイメージが強い。その動きはユーモラスで見ていると実に楽しい。


<img alt="mutu02.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/environment/mutu02.jpg" width="340" height="228" />


　５月から７月にかけて干潟の上でジャンプを始める。美しいメタリックブルーの斑点を輝かせた背ビレを目いっぱい広げ、泥から２０センチほども跳び上がる。恋の季節の到来である。あらかじめ産卵準備のために沖に移動したオスは、泥の下に産卵室をつくる。泥の表面から３～１０センチくらいの深さに掘るので産卵室はしっかりしている。幅の広さと奥行きが２０センチほどで通り道があり、部屋の左右に一本ずつあり、これが地上へ続くムツゴロウの「愛の巣」である。


　やがて産卵間近になったメスの群れが沖合いにやってくる。するとオスたちは、自慢の体色比べをするためにジャンプを始める。可愛いメスに出会ったオスなどは、激しく体を動かしジャンプを繰り返して積極的にメスを誘うのである。見ているとどのムツゴロウも名ジャンパーというわけではなく、やはり上手下手があるようだ。真上に美しく跳ぶものもいれば、どうやっても前に跳んでしまうもの、あまり高く跳べずにすぐにぺチャと泥の上に落ちてしまうものなどいろいろだ。


　求愛を受けたメスは、オスの品定めをして、背ビレを広げたりオスと向き合ったりして、相手をよく観察する。ＯＫとなると、オスがメスを誘導して産卵巣へ入っていく。ムツゴロウのカップルは、干潟の表面に開いた出入口を泥でふさいでしまう。そしてメスはなんと５０００個ほどの卵を産む。卵は産卵巣の天井周辺に付着し、オスによって孵化まで保護される。メスは産卵をすますと、さっさと巣から出て行ってしまい、我が子の面倒を見ることはない。


　ムツゴロウの社会はどうやら女性優位のようだ。このムツゴロウたちも最近は干潟を汚され数が減っている。この愛すべきムツゴロウたちが有明海に生き続けることを願いたい。]]>
        
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    <title>スズメは益鳥か、害鳥か。</title>
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    <published>2008-07-31T16:36:38Z</published>
    <updated>2008-08-01T01:51:56Z</updated>
    
    <summary>　スズメは他の鳥と違って滞空時間が短い。長く飛んでいるとすぐフラフラしてしまう。...</summary>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.dailytimes.jp/education/">
        <![CDATA[　スズメは他の鳥と違って滞空時間が短い。長く飛んでいるとすぐフラフラしてしまう。それで、ちょっと飛んでは竹やぶなんかに降りてひと休み。ちょっと休んでは、ふたたび近くの田んぼへ飛び移ってまたひと休みと、そんなことを日がな一日繰り返している。


<img alt="suzume.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/government/suzume.jpg" width="340" height="241" />


　ふつう鳥は地面に降りるとトコトコ歩くものだが、スズメは歩けない。スズメは足を交互に出して歩くのではなく両足を揃えてピョンピョンと跳ねているのだ。地上に降りてもずっとピョン、ピョンやっているので運動を続けているのと同じで休んだことにはならない。したがって、地上にいても絶えずエネルギーを使っているわけだ。


　一方、スズメはエネルギーの蓄積が下手くそで、摂取したエネルギーをごく短い時間しかプールしておけない。だから、エサをのべつまくなしに食べていないとダメになってしまう。


　竹やぶに集まってチュンチュンとさえずりながら、たまには地面に降りてはエサを探す。あるいは、田んぼや畑で稲穂や野菜をついばむ。ところが、この稲穂や野菜を食べるところが、かつて中国の指導者・毛沢東の怒りを買った。


「スズメは生産低下につながる害鳥、大躍進の敵」となり、一説では５８年から４年間に中国全土で数億羽のスズメが殺されてという。


　ではその結果、中国は空前の収穫高に沸いたのだろうか。逆に農作物がさっぱりできなくなってしまったのである。


　理屈は簡単。スズメはたしかに稲穂や野菜をついばむが、同時に農作物にとっての害虫もせっせと食べていたのだ。スズメを抹殺した結果、中国の害虫は天敵がいなくなり各地で田畑を食い荒らしていったのである。


　一方、全人民は毛沢東の命令により鉄づくりに没頭していたので、農作業は二の次、三の次となり、秋の収穫期に入っても田畑で働く人が激減した。害虫の猛威を農業労働者の空洞化によって、６０年代を迎えると中国全土は悲惨な大飢饉に見舞われた。


　何千万人という尊い生命が失われたのである。この失敗にこりて、その後、方針転換となりスズメを殺すなとなったことは言うまでもない。


　英国在住の中国女性、ユン・チャンが書いた『ワイルド・スワン』は現代中国の壮大な歴史ノンフィクションだが、抗日戦線から文化大革命にいたる動乱の時代を三代にわたるすさまじいまでのサバイバルの物語である。


　中国政府は当時、スズメ、ネズミ、蚊、南京虫を「四害」に指定したのである。これらの事実は他の本にも記述があり、事実だったと思う。


　筆者も少年の頃、電線に止まっているスズメを空気銃で撃ったことがある。だが、下手な鉄砲、数撃ちぅゃ当たる」ではないが、めったに当たることはない。でも撃たなければスズメどもは日本では危険で人間に近づくなといわんばかりに、私たち人間に近づくことは稀だろう。


　モスクワの公園やヨーロッパの各都市を訪ねるとスズメが近寄って頭に止まったり、手の上に乗ることもある。人間とスズメの平和共存を数えるのに意味深であった。]]>
        
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    <title>ムササビの滑空</title>
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    <published>2008-06-30T22:51:47Z</published>
    <updated>2008-07-01T00:34:14Z</updated>
    
    <summary>　鳥の仲間は、ペンギンやヤンバルクイナなどの一部が空を飛べないが、たいてい鳥類は...</summary>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.dailytimes.jp/education/">
        <![CDATA[　鳥の仲間は、ペンギンやヤンバルクイナなどの一部が空を飛べないが、たいてい鳥類は何十キロ、何千キロと飛行する。魚類ではマンタやボラのようにジャンプは得意でも、空を飛べるのはトビウオぐらいだろう。また両生類ではカエルの跳躍は有名だ。だが、哺乳類で空を飛べるのはムササビが代表格だ。


　スマートな体で木の上で生活しているが、夜活動し、飛膜を広げるとまるで風呂敷を広げたように、木から木へ数十メートルも飛翔することができる。


<img alt="musa-Rmomi.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/environment/musa-Rmomi.jpg" width="262" height="300" /><img alt="kakkuu1.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/environment/kakkuu1.jpg" width="340" height="227" />
（写真提供／上下とも「ばんどり日記」）
<a href="http://www.bandori-nikki.com/">http://www.bandori-nikki.com/</a>


　それでは、なぜ滑空する必要があるのか。これには次の諸点が考えられる。まず外敵に襲われた場合、身の危険を察知して飛ぶ。営巣先を移転する時、食糧を求める場合、交尾期にオスがメスを追いかけたり、逆にメスがオスを求めたりするケースなど。でも本当に滑空する必要は、ムササビに聞かないと正解ではないだろう。


　交尾期になると、静かな夜の森が急に騒がしくなり、あちらこちらから鳴き声が聞こえ、滑空する姿が散見される。発情したメスのいる巣の木へオスがやってきて、オス同士の争いが始まる。一晩だけの交尾日は、メスは夕方早く巣を出ると、巣を防衛していたオスと巣で交尾する。その後メスはオスたちから逃げるように木から木へ活発に滑空を繰り返す。


　数年前、動物学会でムササビの観察会に参加した時、静かな夜空を音もなく飛び交う彼らの姿を見ると神秘的であった。このような野外観察からわかったムササビの妊娠期間は平均７４日で、げっ歯類としては長いものである。出産期も２月から３月末の早春と７月から８月への真夏の２回と判ってきた。この時期は幼児の食べるエサの関係が深いようだ。


　生後約４５日で子どもは巣のある樹洞の入口から顔を出し、毛が生えた頃は成長期を迎える。ところが、鳥のヒナが巣立ちをする時、親の訓練ぶりが必要なようにムササビの子どももそう簡単ではなく、滑空を始めるのはかなり後になってからで、母親は子どもを滑空させようと懸命に指導を始める。


　まず母親が滑空の手本を示し子どもに鳴いて誘う。子どもは最初、足踏みをして跳び出す勇気はない。そして母親は子どもの首の後ろを毛づくろいをして、母親の後をついて跳ぶ練習をさせる。何回も丹念に教えられた子どももついに飛べるようになる。


　生後８０日ほどで子どもは木になるさまざまな食物を食べはじめるが、まだ授乳も行われている。子どもは離乳後も母親のなわばりの中で滞在を続け、生後１年近くも母子は仲良く暮らすことになる。この母と子の関係が深いのは、子どもを産む数が少ないので、特に母親の愛情が強く、徹底的に保護し、教育をしている。


　子育て中の母親は、外敵から見つからないように用心深く、たびたび巣を移動する。そのために木から木へ、まるでサーカスのようにいともやさしく空を飛び交うように、神がその飛行技術を身につけさせたのだろう。不思議な愛すべき、そのムササビも森の開発で減少しつつあるという悲しい現実がある。

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    <title>貝貨と宝貝</title>
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    <published>2008-06-02T00:31:32Z</published>
    <updated>2008-06-03T02:57:07Z</updated>
    
    <summary>　人類が最初に使った通貨は貝であったという記録がある。つい２００年ほど前までキイ...</summary>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.dailytimes.jp/education/">
        <![CDATA[　人類が最初に使った通貨は貝であったという記録がある。つい２００年ほど前までキイロダカラやハナビラダカラなどが通貨として利用されていた。貝殻がお金だなんて信じられない人もいるだろうが、本当の話であり、これを貝貨といっている。


　アフリカ、中国、インド、インドシナ、チベットなどの東南アジアの地方や太平洋諸島の各地で貝貨が用いられ、インドやアフリカでは最近まで、またニューギニアの奥地では今日でもまだタカラガイが立派な通貨としての価値をもっているといわれている。


　このタカラガイが貝貨として選ばれたのは、美しくて丈夫で長く使用に耐えることと、大きさが適当で、さらには大量に同じものが得られることなどが通貨としての条件にかなっていたと思われる。しかし貝貨となったのはタカラガイ類だけでなく、南洋諸島ではクロチョウガイが、またアメリカインディアンはカヘイツノガイも使っていた。


　ただ貝貨といっても等級や内規があって、むやみに海岸で拾って使うことはできなかったようである。１８７０年ごろ東アフリカからイギリス人がインド貿易によって輸出したタカラガイは２５００トンにのぼったといわれ、そのころカルカッタにバンガローを建てた人が支払った貝貨は、ハナビラダカラでなんと１６００万個だったそうである。これを貝の重量に換算すると８０トンもあり、大型ダンプカーに２０台分はあり、カルカッタではなく重かったということか。


　アフリカでは上等のタカラガイ４個で豚１頭が買え、普通の女性ならば２万個で妻にすることができたといわれている。ただし、人妻の場合は６万個が必要だったという記録もある。またニューギニアの奥地では、１日の日当がタカラガイ３個とイモが少々。１００個あれば嫁の交換ができたという話もある。


<img alt="kiirodakaraweb.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/education/kiirodakaraweb.jpg" width="340" height="255" />
<strong>キイロダカラ</strong>（写真提供／ＭＩＹＯＳＨＩの貝殻の部屋）
<a href="http://www.geocities.jp/kazura32/index.html">http://www.geocities.jp/kazura32/index.html</a>


　とにかくタカラガイは文字通り宝の貝で、「お宝」であった。漢字をみても、賣、買、財、貯、貨、貸、貧、購、賃、質、など金銭と関係のある字に貝のつくものはたくさんある。寶は宝でタカラガイの象形文字であったのだ。


　ペルシャ湾のキイロダカラは、アラビア商人によって中近東方面にばらまかれ、１９世紀には、アフリカとインドの奥地で大量に貝貨として消費されていた。また同じ１９世紀にアフリカに もちこまれたタカラガイは少なくとも１１万５０００トンになると推定されている。中国やエジプトの古い王朝の遺跡からタカラガイが発見されているが、その後も貝の形をした玉や石がつくられた。やがて銅製品などが現れ銅貨となった。金貨、銀貨も同様である。


　このような通貨の歴史の初頭において、貝殻が非常に重要な役割を果たしていたことは興味深い。タカラガイ類は世界に約２００余種、日本に７５種あり、貝類蒐集家にはこの仲間に情熱を傾けるいわゆる「宝貝党」があって、特に女性にこのファンが多い。渋く光る美しい色彩と艶やかがあり、まろやかな形も好まれ、古代から人類は貝に魅せられてきたのである。

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    <title>蚊の功罪とは</title>
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    <published>2008-05-01T00:22:51Z</published>
    <updated>2008-05-01T00:42:37Z</updated>
    
    <summary>　人間に嫌われる動物のワーストスリーは、ネズミ、ゴキブリ、蚊という説がある。特に...</summary>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.dailytimes.jp/education/">
        <![CDATA[　人間に嫌われる動物のワーストスリーは、ネズミ、ゴキブリ、蚊という説がある。特にネズミはペストの病原になり、蚊もマラリアという恐ろしい病気を媒介する。


　この蚊の生態を研究している学者も多い。昔の人は都々逸の一節に「ボウフラが蚊になるまでは艱難辛苦、泥水のみの浮き沈み」と詠んでいる。


　蚊のメスは、たくさんの卵を産み、その幼虫は水中で生活し、羽化するまでは、かなりの時期を要する。夏の夜、ブンブン飛んでいる蚊も「ぶんか」という文化活動をしていると思えばよい。血を吸われて、かゆかったらカルチャーショックではあるが。


　ところで、オスは血を吸わないで、樹液や葉っぱの水分を吸っているだけで十分生きていける。だがメスは卵を産まなければいけないから動物の血を吸って栄養を蓄える必要がある。つまりメスは子孫を残すために血を吸っているので、蚊の種族保存のため「愛の献血運動」に協力することも必要だろう。


<img alt="akaieka.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/takemura/akaieka.jpg" width="242" height="300" />
<strong>アカイエカ</strong>（写真提供／フマキラー㈱）


　数十年前には、どこの家庭でも蚊帳をつったり、蚊取線香を用意していたものだ。家族の中でも、最初に狙われるのは、赤ちゃんや子どもであり、次に女性、男は一番、後回しである。これは蚊の小さな体にも温度を計るセンサーの働きがあるからだ。男性でも風呂上りや酒を飲んで体温が上がっている時は、真先に蚊の攻撃目標となる。その温度計はまさに精密機器といえるだろう。


　昭和天皇は生物学者として有名であったが、蚊にまつわる面白いエピソードがある。ある暑い夏の夜、陛下の寝室に蚊が入ってきて、チクチクと刺した。流石の陛下も侍従を呼び「蚊が襲来してきたので捕獲せよ」といわれた。


　職員は「陛下、蚊を捕獲しました」「何匹か」「七匹です。どうしましょうか」「殺しては駄目。カゴの中に入れて飼うように」とおっしゃられたと、ある侍従から伺ったことがある。翌日、陛下は生物学研究所で顕微鏡で観察して、オス、メスを調べた後、全部逃がしてやったという。人間天皇の面目躍如という、生きものの命を大切に考えられた学者タイプだったと想像される。


<img alt="hitosujisimaka.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/takemura/hitosujisimaka.jpg" width="234" height="300" />
<strong>ヒトスジシマカ</strong>（写真提供／フマキラー㈱）


　かつて太平洋戦争が終り、アメリカが占領下政策の一つとして、ＤＤＴの散布を行った。ノミやシラミ、ダニ、ハエ、蚊など伝染病を媒介する虫を駆除する作戦でもあった。それから数年経ち、ノミやシラミはほとんどいなくなった。だが「やれやれ快適になった」と手放しで喜ぶわけにはいかない。それらの虫をエサにしていた生きものたちはどうなったか。


　例えばコウモリは蚊をエサにする。蚊は夜行性の昆虫なので、夜間エサ探しに出るコウモリにとっては格好のエサになる。昼間、洞くつの中でぶら下がって休んでいるコウモリは不必要なエネルギーを使わず体力を維持している。そして生物時計で日が暮れたのを感知すると、ねぐらから出て、エサを探し始める。コウモリは目が見えないが超音波をキャッチするレーダーがあり、一夜に１６００匹の蚊の血を吸うという。蚊が激減し、コウモリも減少するのも当然である。


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    <title>真珠は「人魚の涙」かな</title>
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    <published>2008-03-31T23:54:10Z</published>
    <updated>2008-04-02T02:47:03Z</updated>
    
    <summary>　読者のみなさんは「アコヤガイ」と聞かれたら何を連想するだろうか。ほとんどの人は...</summary>
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        <![CDATA[　読者のみなさんは「アコヤガイ」と聞かれたら何を連想するだろうか。ほとんどの人は「真珠」を思いつくことと思う。それほどアコヤガイと真珠は、切っても切れない関係にある。


　この貝はウグイスガイ科の二枚貝の一種で、真珠養殖に使われるので別名シンジュガイとも呼ばれている。貝殻の大きさは８～１０センチ、丸みをおびた四角形に近い形で、二枚の貝殻の一方は大きく、ふくらみも強い。二枚の貝が蝶つがいでつながったようになっていて両端は耳のように突き出ている。その一方から足糸とよばれるものを出して、岩などにくっついている。貝の表面は淡褐色で、緑褐色の放射彩がある。


<img alt="akoyagai.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/kobayashi/akoyagai.jpg" width="340" height="255" />
<strong>アコヤガイ</strong>（写真提供／伊勢志摩きらり千選）


　本州中部以南の暖かい海上にすみ、比較的並みの静かな内港の浅瀬が棲み家だ。仲間にはシロチョウガイ、クロチョウガイ、マベガイなどがあり、真珠養殖に使われている。シロチョウは白、クロチョウは黒、マベは赤であるのに、アコヤはクリ―ム色、金色、ピンクと色彩に変化がある。天然真珠の産地としては、古くはペルシャ湾、セイロン島、アドリア海、紅海が有名であった。


　昔から天然真珠がいったいどうしてできるのか、ロマンチックな想像をしてきた。「人魚の涙」といった表現もある。現在では真珠は貝殻と同じつくりで、ただそれを形成している層が逆なだけあることがわかっている。真珠質ができるのは、殻と体内の間に入りこんだ異物に、殻の内側の層をなしている真珠層が巻きついて玉となるからである。アコヤガイに入れる核は主にミシシッピー河産の固いドブ貝を使用する。


　世界で真円真珠の養殖に成功したのは御木本幸吉翁で、本年生誕百五十年を迎えた。真珠王は「世界の女性の首を飾る」と豪語したが、日本産の真珠が各国に輸出されている。わが国では、三重、長崎、愛媛が主産地である。アラフラ海や沖縄などでは白蝶貝、黒蝶貝の南洋真珠とよぶ大型の真珠を生産している。ところが、ここ数十年前から中国の潮沼の淡水真珠が大量に出回り、アコヤガイの本真珠のシェアが奪われつつある。


　アコヤガイに核入れをして筏につるし、２、３年で数ミリの大きさに成長するまで、貝掃除をしたり、ヒトデ、タコ、ウナギなどの天敵から守ることや、時には赤潮の発生時の避難、寒い時季に暖かい海への移動など手間がかかる。潮流の変化で母貝が死ぬこともあり、良質の玉ができるのは極めて確立が低い。そのため、高級品は高価なのは当然である。


　真珠の良否は、サイズ、巻き具合、キズの有無、色彩、輝きなどの条件が必要であり、素人では判断しにくい。最近では放射能で焼いたり、人工で着色されたにせものも出回っている。真珠は装飾品だけではなく、真珠を粉末状にしたものから薬や化粧品も作られている。


<img alt="pearl.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/kobayashi/pearl.jpg" width="340" height="255" />
<strong>「人魚の涙」と言われる真珠</strong>（写真提供／伊勢志摩きらり千選）


　真珠の重さを計る単位は、今でも匁（モンメ）が使われており、世界市場でも同様である。それだけ、日本の養殖真珠が世界でも名をとどろかせているという証拠である。
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    <title>キャビアはチョウザメの卵</title>
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    <published>2008-03-01T02:01:44Z</published>
    <updated>2008-02-29T09:34:39Z</updated>
    
    <summary>　チョウザメといわれてなじみのない人でも、世界の三大珍味の一つ「キャビア」のとれ...</summary>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.dailytimes.jp/education/">
        <![CDATA[　チョウザメといわれてなじみのない人でも、世界の三大珍味の一つ「キャビア」のとれる魚と聞けば、うなずかれるのではないだろうか。


<img alt="chouzame1.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/nichi/chouzame1.jpg" width="340" height="220" />
<strong>鳥羽水族館提供</strong>


　チョウザメはサメという名がついているものの、サメの仲間とは全く無関係、赤の他人であるが、しいて言えば、その体の形がサメによく似ているということだろう。チョウザメの仲間は一般に体の鱗はなく、わずかに体の両側中央にだけあるほかは、ないに等しい。


　名の由来は、体側に並んでいる鱗が菱形になっていて、その形が昆虫のチョウに似ているところだといわれる。現存するこの仲間は２科２６種類が確認されているが、その内訳は２４種のチョウザメ科と、２種類のヘラチョウザメ科である。最大種はロシアのアムール河などに生息するオオチョウザメ（ロシア名で「ベルーガ」）で成長すると全長８．５メートル、体重１３００キロという記録がある。


　ふつうは３、４メートルで、イルカよりひと回り大きいくらいである。カスピ海でとれたオオチョウザメの場合、体長３メートル、体重３００キログラムの大きさで、推定年齢が７５歳といわれている。生まれてから長くたってもあまり成長せず、全般的に寿命が長く１００年に達するものもいるといわれ、魚類の中では長寿Ｎｏ．１といえそうだ。


　チョウザメは生きている化石といわれるシーラカンスやオウムガイと同様、最も原始的で下等なグループで、大部分の骨格が軟骨からできている。生息域は北半球の中緯度から高緯度まで広範囲にわたり、その多くが気候も温和な地帯に分布しているものの、どちらかといえば、水温３０度前後の台湾沿岸に棲むのもいる。


　体は細長く紡錘形で、吻（口先）はかなりとがっていて口は吻の下側にあり、えらぶたはえらあなを完全にふさいでいない。体には菱形の大きい鱗と、口の前に４本の肉質のひげがあり、このひげが大切な触媒器官で、その形や位置が種類によって異なる。


　捕食行動は水底すれすれにゆっくり泳ぎまわり、４本のひげで餌となるものを探し、前方に伸ばすことのできる口で吸いこむ。一度に食べるのではなく、ひと口吸いこんでは泳ぎ、またひと口吸いこんでは泳ぐ遊び食いである。


　ヘラチョウザメは中国の河川湖沼にのみ生息し、その名前のように、上部の吻が長く伸びてへら状になっており、他のチョウザメのような鱗と長く目立ったひげはない。そのへらは体長の３分の１にも達するほど長い。


　チョウザメの中には、一生を淡水で生活するものもあるが、その多くは河川で生まれ、海や湖沼で成長し、成熟すると生まれた河川へ帰り、産卵したのち再び海へ下る習性をもっている。自然界の餌は、水底の二枚貝や甲殻類および小魚で、河川などの淡水域では、昆虫の幼虫やザニガニ、巻貝も食べている。


<img alt="chouzame2.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/nichi/chouzame2.jpg" width="230" height="340" />
<strong>鳥羽水族館提供</strong>


　当館では２０年前、モスクワ動物園から贈られた、ダウリア、ホシ、シロ、ヘラの４種類を混養飼育中でその生態研究を継続中である。]]>
        
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    <title>ヒトデもいろいろ</title>
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    <published>2008-02-01T00:45:22Z</published>
    <updated>2008-02-01T00:47:37Z</updated>
    
    <summary>　かつて高度成長期には、どこの役所も企業も人手不足で「ヒトデ」探しに躍起となって...</summary>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.dailytimes.jp/education/">
        <![CDATA[　かつて高度成長期には、どこの役所も企業も人手不足で「ヒトデ」探しに躍起となっていた。現在も少子高齢化社会を迎え労働力不足が深刻となっている。私は「海の中にはヒトデはいくらでもいるよ」と冗談を言っている。この冗談にはちゃんとわけがある。


　ヒトデの多くは５本腕で、仮に１本をちぎったとしても再生力があって生えてくる。これこそ本当の人手対策というわけだ。ヒトデはウニやナマコと同じ棘皮（きょくひ）動物の仲間だ。ヒトデ類は潮間のタイドプール（潮だまり）から水深７００メートルの深海まで分布している。また南海のさんご礁から南極の氷山の下まであらゆる海域に見られ、１５００種を数える。多くは肉食性で主に貝類や砂泥中の小動物をえさとするが、他の棘皮動物や海綿、海藻まで食べる。さらにエビやカニを食べるグルメ志向もいるし、弱った魚を襲うのもしばしばだ。


　大型のオニヒトデがさんご礁を食い荒らすことは有名である。ヒトデは「海星」とも書くが、スターはスターでも海底の悪役スターなのである。再生力の強さはよく知られているが、中央の盤の一部がついていれば、ちぎれた１本の腕からでも１匹になってしまう。１本の腕の付け根から小さい腕が再生してくる状態を、その姿から「コメット（ほうき星）」と呼ぶ。このような繁殖力の強さも、他の海底生物から嫌われる原因であろう。


<img alt="nichirin.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/kokkaigiin/nichirin.jpg" width="340" height="241" />
<strong>ニチリンヒトデの仲間（北海道・積丹半島）</strong>


　ヒトデ類は千差万別で、サイズ、色彩、形もまちまちである。モミジのようにかわいい６センチほどのモミジガイ、細長く１７センチほどになる藍（あい）色のアオヒトデ、８本足のヤツデヒトデ、１５本足のオニヒトデ、７２本も足のある大型のニチリンヒトデなど挙げればきりがない。


　気味の悪いのは、クモのように細長く手が付いているアカクモヒトデ、盤は２センチなのに手が２０センチもあるウデフリクモヒトデ、最も感じが悪いのが深海に生息し、昼は物陰に潜み夜に活動するオキノテズルモズルだろう。星形が一般的だが、例外としてマンジュウヒトデのような球形もいる。


<img alt="manjuu.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/kokkaigiin/manjuu.jpg" width="340" height="241" />
<strong>マンジュウヒトデ(ミクロネシア・ポナペ）</strong>


　最大はコブヒトデの仲間で８０センチ級もいる。食性もいろいろで、サンゴのポリプから砂泥の中の小動物や死んだ魚などまで対象となる。岩礁に住むヤツデヒトデは自分の口よりも大きいカニを捕らえて食べる。一方、食べられる方も必死になって防御する。


　ホタテガイはヒトデが近づくのを察知すると、貝殻を激しく開閉して水を吹き出して泳いで逃げる。ヒオウギガイも同じように貝殻をバタバタして逃げるので、志摩地方ではバタバタガイと呼ばれている。またカサガイは外側の膜を伸ばして貝殻を包み、ヒトデがつかめないようにする。コロコロと転がって逃げる巻貝もいる。


　海底でも日夜、食うか食われるかの厳しい戦いが繰り広げられているのである。この天敵オニヒトデは大発生して食いつくす「ヒトデナシ」だが、沖縄海洋博の頃も異常に増えて困ったことがある。電流や薬では効果なく、結局、人が潜水して退治する「ヒトデ作戦」が最も効果的だった。

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    <title>アフリカマナティの生態</title>
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    <published>2007-12-28T03:39:59Z</published>
    <updated>2008-01-11T02:50:06Z</updated>
    
    <summary>　伝説の人魚といわれるジュゴンは熱帯の海に、マナティは川に棲む。ともに同じ海牛類...</summary>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.dailytimes.jp/education/">
        <![CDATA[　伝説の人魚といわれるジュゴンは熱帯の海に、マナティは川に棲む。ともに同じ海牛類で哺乳動物である。


　ジュゴンは１種類だがマナティは３種類の仲間がいる。フロリダ半島からカリブ海に棲む「アメリカマナティ」、別名「フロリダマナティ」と南米アマゾン河流域に棲む「アマゾンマナティ」。そして西アフリカのセネガルからアンゴラに棲んでいるのが「アフリカマナティ」だ。


　彼らの祖先は陸上で歩き回る動物だったのだが、好物の水辺の草を求め、外敵から身を守るために水中の生活に適応していった。そしてついには脚をなくし、尾を魚のように進化させ、現在のようなイルカ型の体型になったと考えられる。だがイルカと決定的に違うのは、草食であることでイルカのように素早く泳ぐ必要がないので、ずんぐりと太ってのんびりとした暮らしを送っていることだ。


　マナティとジュゴンは、よく見れば同じ海牛類でも違いがよくわかる。ジュゴンは淡いピンク色なのに対して、アフリカのマナティの色はゾウやサイのような褐色で「褐色の人魚」といわれている。さらに外見から最もわかりやすいのが尾の形で、ジュゴンはイルカと同じＶ字型、マナティは丸いシャモジのような形をしているからだ。


<img alt="tobamanatii.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/environment/tobamanatii.jpg" width="340" height="246" />
<strong>アフリカマナティ（鳥羽水族館提供）</strong>


　アフリカマナティは、たいていのことは驚かない。いつものんびりのマイペース。飼育係が誤ってプールに落ちたことがあったが、その時でも平気な顔で見ていた。たいした大物である。平成８年６月、オス、メス各１頭のアフリカマナティが、はるか西アフリカのギニアビザウのジェバ川から当館に入館した。現地に長期間にわたり調査士、捕獲した飼育研究部のスタッフが文字通り、命懸けで連れてきたものである。体長は約３メートル。入館当時４００キロ余から今ではメスは８６０キロ、オスは６５０キロと巨体に成長した。愛称はメスが「はるか」オスは「かなた」で２頭合わせると「遥か彼方」遠いアフリカからはるばるチャーター機できた珍客である。


　現在、このアフリカマナティを飼育しているのは鳥羽の２頭だけであり、将来の繁殖計画を夢見ている。健康管理が大変で棲息地の水温に合わせた暖房、巨体ゆえ排泄物も多く水質管理と循環装置、餌となる植物の確保などに神経を使う。現地ではイネや水草を食べているようだが、国産のイネは農薬のおそれがあり、主にレタスを与えている。１日３回４０キロも食べるので年間１頭で１５００万円になる。


　面白いことに特にオスはニンジンが大好物、メスはサツマイモが好物だ。両方が共通するのはゴボウが好きなことである。彼らが、どうも背中でエサが分かるらしいということで、背中に何かを押しつけたりすると嫌がるだけなのに、ニンジンだと喜んで体をひるがえして食べにくる。もちろん見える場所ではない。故郷のジェバ川は濁っているから、あるいはそんな触覚が発達しているのだろう。近い将来、マナティの二世誕生が世界初の快挙となるうよう連日、研究にいそしんでいる。]]>
        
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    <title>ビーバーは優秀な建築家</title>
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    <published>2007-12-02T22:48:22Z</published>
    <updated>2007-12-03T05:02:03Z</updated>
    
    <summary>　北米とヨーロッパの寒帯林の水辺にすんでいるビーバーは哺乳類でネズミやリスと同じ...</summary>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.dailytimes.jp/education/">
        <![CDATA[　北米とヨーロッパの寒帯林の水辺にすんでいるビーバーは哺乳類でネズミやリスと同じげつし目というグループだ。ふつう哺乳類の家族は、母親と子を中心としたものが多く、父親は家族から離れて勝手きままに暮らしているものが多い。だが中には家族で一つ所にすみ、協力し合って暮らしているものもある。


　その代表の一つがビーバーである。建築家としては名高いが、家族愛に満ちた動物であることはあまり知られていない。石や泥を使ってダムを作って、小川をせき止め、できた池の中に木の幹や枝を積み上げてすみかを作る。しかし、これはすんでいる川の岸が低い場合で、川岸が高い場合には、土手に穴を掘ってすみかを作る。どちらの場合も、すみかはかなり精巧な設計されていて、居間や寝室、かくれが用の小部屋や抜け道など、じつにさまざまなものが備わっている。人間の世界で話題になった「姉歯」のような設計ミスはない。


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　このような住居にビーバーは家族で暮らしている。家族構成は、両親と前年に生まれた子、そしてその年に生まれた弟や妹たちである。ビーバーは夫婦仲がよく一生その関係は続くといわれ、人間のような離婚問題はない。一度すみかを作ると夫婦は何年もそこにすみ続ける。すみかの修理は家族全員で協力して行う。人間界ではめったに見られなくなった正統派家族なのである。


　母親は４～６カ月かけて一度に２～４頭の子を産む。赤ちゃんは、眼も開き、毛もきちんとはえた状態で生まれてくる。そして３０分もしないうちに、母親から泳ぎを習う。すぐに泳げるようになるが、体が軽いので、まだ潜水はできない。子どもたちは泳ぎ疲れると、母親の毛に前あしでしがみつき、背中にあごを乗せて小休止する。母親はそんな子をしかりつけたりせず、励ますように力強く子を引っ張って泳ぎ続ける。こうして毎日泳ぎの特訓を受けながら、ビーバーの子は育っていく。


　子は生後３カ月で離乳するが、その後も巣にとどまり、約２年間母親と暮らす。この動物界のすぐれた建築家といわれるビーバーも幼いうちから母親をはじめとするおとなたちの手ほどきを受け、次第に一人前の職人になってゆく。子どもはおとなに連れられて岸に上がり、木材の切り出しを手伝う。そして切り出した木材を口にくわえ、おとなの後について建築現場へ向かう。こうして高度な技術は、親から子へと受け継がれてゆくのである。


　ビーバーは水泳は得意だが、陸上では思うように動きがとれない。そのため陸に上がった子を親はつねに気づかい、周囲への注意を怠らない。オオヤマネコやコヨーテなどの肉食動物が攻撃するため、陸に上がったビーバー親子は何度も仕事や食事の手を休め、立ち上がってあたりを見回す。ビーバー一家は、夏から秋の間、ダムやすみかを作ったり、食事をしたり、泳ぎの練習をしたりして過ごす。そして冬が近づくと、冬に備えてすみかやダムの大修理を行い、食料を蓄えて一家で冬を越す。]]>
        
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    <title>ムカデは暗黒の王者</title>
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    <published>2007-10-31T23:52:57Z</published>
    <updated>2007-11-01T02:50:39Z</updated>
    
    <summary>　世の中の嫌われ者にもいろいろあるが、ムカデは見かけが悪いとか、人間にもかみつく...</summary>
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        <![CDATA[　世の中の嫌われ者にもいろいろあるが、ムカデは見かけが悪いとか、人間にもかみつくなどの理由で好かれることはない。


<img alt="mukade.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/education/mukade.jpg" width="255" height="176" />
<strong>セスジアカムカデ（オオムカデ目）
写真提供／（財）日本環境衛生センター武藤敦彦氏</strong>


　しかしその反面、「足が多い」ことを「客足がつく」とか「おあし（銭）が多い」と解釈して、人の出入りが気になる商店主たちからは、縁起ものとして歓迎されることもある。ムカデにしてみれば、人間の都合で善玉にされたり悪者扱いされたりしていい迷惑だろう。ここはひとつ、ムカデの代弁者となって彼らのことを紹介することで、罪ほろぼしをしよう。


　大地は土壌であり、この住み場所は小はダニ、トビムシ、大はトカゲやモグラなど種類も多い。ムカデもここの住人で、ふつう落ち葉のすきまや石の下、土の中の暗い湿ったところにすんでいる。


　これらの土壌にすむ生物は大きく二つに分けられる。一つは落ち葉や倒木、けもの、昆虫といった生物の遺体を分解し、土壌を作り出す分解者や低次消費者だ。もう一つはこれらを捕らえて食べる捕食者だ。


　ムカデはもちろん捕食者で、昆虫やミミズ、さらに同じ捕食者である小型のクモまでも捕らえて食べる。また大型のムカデになると、トカゲやヤモリ、小さなネズミまで襲うことがある。したがってこれらのムカデは、土壌の食物連鎖のトップに近い座をしめているといえよう。大地の下で繰り広げられている食うか食われるかの暗黒の世界において、陰の実力者なのである。


　ところで、この実力者が、力にものをいわせるばかりではなく、実にきめこまやかな子育てをすることはあまり知られていない。


　外見からは見分けがつかないが、オスとメスは交尾に似た間接的な行動で卵を受精させ産卵する。春から夏にかけて一度の数十個の卵で約２時間を要する長丁場だ。卵は丸くて黄色の小さな粒である。母親は落ち葉の下などで、体を「の」の字に曲げて産卵し、その卵塊をあしで受け止める。母親が卵塊を取り巻く形になるので、まるでかごに入っている卵のように見える。


　母親は卵をしっかりと抱きあげ、湿った地面に着けることはない。そして適度な湿り気を卵に与えるため、ふ化するまで一日に何回も卵をなめる。もし母親が抱卵をやめたら、この小さな粒は、ジメジメした土の上で、たちまちカビにおかされるか腐ってしまうか、他の餌食となってしまう。


　ムカデのあしの数は頭と胴からできていて胴の節がいくつも連結されていて自動車のタイヤチェーンのようだ、その節には一対ずつのあしがついている。胴の節の数は種類によって違い、最低１５個、最高１７７個ある。したがって足の数は３０本から３５４本という計算になる。漢字でムカデを「百足」と書くが、これは誇大表現ではない。


　さてこの気味悪いムカデも人間とのつきあいは古い。古代では魔除けとして持ち歩き、日本では油漬けにしたものを傷薬に使ってきた。東アジア全域では、今でも乾燥ムカデを精力剤として使っているのは、雄々しさ、きれい好き、子への深い愛情にあやかっている。

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    <title>ワタリガニのミステリー</title>
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    <published>2007-09-30T21:28:14Z</published>
    <updated>2007-10-01T00:20:14Z</updated>
    
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        <![CDATA[　エビやカニの仲間は甲殻類といって世界で約６５００種類に及ぶ。カニで美味なのは、北海道産の毛ガニやタラバガニ、日本海側のエチゼンガニ、中国産の上海ガニ等もあるが、味覚ＮＯ.１は恐らくガザミであろう。このガザミの種類も多いが、太平洋岸に普通に見られる通称ワタリガニである。


<img alt="gazami_thumb.jpg" src="http://www.dailytimes.jp/kokkaigiin/gazami_thumb.jpg" width="320" height="240" />
香川県水産課提供


　筆者が少年の頃、夏の海岸でよくこのカニが月夜に海面を泳いでいるのをタモですくって捕らえたものである。足の一部がボートのオールのように平べったく、水中でバタバタさせて泳ぐことのできる仲間だ。月光に照らされて海を渡るガザミはロマンチックで砂漠を歩くラクダのように詩情豊かなものだ。熱帯地方には緑や紫色がかった美しいガザミも多く、最近の市場には養殖されたタイワンガザミも多い。


　さて、このガザミの一種は水域によって種類が異なり味も違う。十数年前のある日、日本沿岸にはまったくいないはずの青いガザミが浜名湖の近くで発見されたニュースがあった。カニの研究家や関心をもっている者には、どうしてそんなところにガザミがいるのか信じられないようなことだった。この青いガザミの正体は、アメリカン沿岸やヨーロッパにはごく普通に分布するアオガニであることが専門家の鑑定ですぐにわかった。


　だが日本にはいないカニであるのに、どうして浜名湖近くにきたのか謎である。いくら泳ぎの達者なこのカニでも、アメリカやヨーロッパからはるばる日本見物にきたのではないだろうし、そもそも長距離旅行は不可能である。それでは単独遊泳が無理なら何かに付着して日本近海で育ったのだろう。いやこれも不自然で、まして天敵の多い自然海では簡単に成長する確率はまずないとみていい。


　ところが先年、日本甲殻類学会で話題になった時、当時の会長の酒井恒博士のミステリーを解く名解説でやっと納得することができた。その推理というのが結局、大西洋のアオガニがアメリカの原子力潜水艦のバラストタンクの中に入り、パナマ運河を通り日本近海にきて、タンクの外に出たメガロバ（カニの幼生）か稚ガニが遠州灘近くから餌を求めて安全地帯の浜名湖近くで育ち生活していたのだろうという推理である。


　最初聞いた浜名湖あたりは越冬ツバメもいる気候温暖な地だから、遺伝的にこんなことも起きるのだろうと疑問をもっていた。この突然変異でもないトピックスは、一匹だけではなく、数匹の個体が発見されているので興味深い。恐らくもっと多数の仲間がいることだろう。今後もこの近海で追跡調査をすればこのカニの発生や移動、生活史を知るうえで貴重なデータとなろう。


　このガザミの中でもフィリピンやパラオ、インドネシア等のマングローブに棲むノコギリガザミは特に大型で、面白いのは捕まるとオスは、あきらめているのか温和（おとな）しくしている。ところがメスは大きなハサミを左右上下に振りまわして暴れまわる。やはりメスは卵を守るための母性本能が濃いのだろうと感心させられる。
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