鈴木 寛 “すずかんマニフェスト”で本物の政治改革をめざす政策マン
鈴木 寛参議院議員(民主党)

すずき かん
1964年兵庫県生まれ。灘高校、東京大学法学部を卒業し、86年通商産業省
に入省。資源エネルギー庁勤務を皮切りに産業政策局、生活産業局、機械情報
産業局に勤務。同省情報処理振興課総括課長補佐、電子政策課総括課長補佐
などを歴任し99年通産省を退官。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス助教授に。
2001年第19回参議院議員通常選挙に民主党公認で東京選挙区当選。05年
前原誠司代表の「次の内閣」で文部科学大臣に。07年参議院選2度目の当選。
現在、参議院倫理・選挙対策委員長。
――9月24日に麻生太郎政権が誕生しましたが、印象はどうですか。
鈴木◎「選挙管理内閣」で、組閣してすぐ解散するわけですから実績を積むことのない内閣ということでしょう。
――福田首相が辞める時に民主党への恨み言を言っていましたが、“ねじれ国会”には大きな意味があったと思います。
鈴木◎多くの先進国では、大統領府もしくは首相府と議会がねじれているのはよくあることなのです。それを恨めしいというのは、国の指導者の資質としてまず問題があります。
昨年“ねじれ”が生じて戦後60年で初めて国会が機能したのではないでしょうか。一昨年まで政府の提出した法案が何の修正もなされないまま議会を通過し続けてきました。そんな国は日本だけだと言っても過言ではありません。本来提出された法案を修正してより良いものにするために議会があるわけですからね。
つまりいままで、国会は行政府のお墨付き機関になり下がっていたのが、ねじれ以降やっと国会が行政の提案に対し意思表明ができる本来の姿になったのです。
――そして自民党政府に対するチェック機能も働くようになりましたね。
鈴木◎議院内閣制で自民党が優位に立ち、60年も行政府を組織しているわけですから、いままでは政府をチェックのしようがありませんでした。
だから年金のことでも、「ねじれ」がなければ絶対に明るみにならなかった。後期高齢者医療制度の問題も追及されることはなかった。2006年の時点では、強行採決されていろんなことが封印されてしまっていたのです。
挙句の果てに、舛添大臣も「後期高齢者医療制度は廃止」という流れになってきている。舛添さんのような論理的な人は、後期高齢者医療制度に無理があることを白状せざるをえませんでした。
政治がダイナミックに動き始めている。それが、現状だと思います。
――小沢民主党代表は「政権交代の最後の戦い」と檄を飛ばしています。決して最後と言うわけではないでしょうが、いよいよ決戦の時ですね。
鈴木◎九合目あたり、最終段階まできていることには変わりありません。百里を行くに九十里を半ばとすると言いますからね。これからの十里には、今までの倍のエネルギーが必要かと思います。
昨日も、小沢代表が参議院の議員総会にいらして、政権交代で一致団結してみんながここまで結束しているのかと肌で感じました。
――鈴木先生は前原代表の時のネクストキャビネットで文部科学大臣に指名されています。教育問題への取り組みは、鈴木先生の政策課題の一つでもあります。学力の低下などの問題に対して教育政策をどのようにいたしますか。
鈴木◎仰るように2000年と比べて、子どもたちの学力は相当低下しています。塾にいけない家庭の子の学力が特に低下しています。学力にも親の経済格差問題が反映されてしまっています。また経済的問題だけでなく、片親だったりあるいはどちらかが外国出身で日本語があまり上手くない家庭の子女を、どれだけ政府・社会がサポートできるかも大きな問題です。

文教科学委員会にて発言する鈴木議員
そのために必要なことは大きく分けて二つあります。教育というのは教師の質と数。その充実が第一。もう一つは、日本の子どもの学力低下の一番の原因は、学ぶモチベーションの欠如です。そのためにコミュニティースクールが必要なのです。
コミュニティースクールとは、地域住民・保護者、学校関係者が一緒になって学校の運営を進めていく制度です。地域の人々は、放課後の補習授業や校庭の手入れ・補修・スポーツ指導などを担い、教師は教師にしかできないことに集中する。それぞれが自分の能力を生かしながら教育現場を支えていく。そして多くの大人や学生が学校に出入りし生徒たちと縁ができることで斜めの関係ができて、あこがれの存在と出会い大好きな先輩などを見て、自分の人生もポジティブに考えるようになるのです。そういうことが学びのモチベーションとして非常に重要なのです。
――小沢新政権誕生の暁には、何が変わるのでしょうか。
鈴木◎大きく言えば「道路から命へ」ということです。公共事業や大企業に使われてきたものが、教育とか医療に使われるようになるということです。安心できる生活を営めるための生活第一の政策に予算が使われます。
特に、役所のセクショナリズム、縦割り主義がこの20~30年の間予算の配分構造を決めてきました。一回手にした予算の枠は死んでも放さないということが、社会のニーズを無視してずっと続いてきたのです。いま現在、2008年、09年にこの国の人々が本当に必要としている優先順位で、予算を総組換えすることです。
確かに30年前は道路建設が必要でした。しかし今は生活第一に優先順位は変わっているのです。
――暫定税率の即廃止、後期高齢者医療制度を含めた改革、農業者個別所得保証精度、子ども手当の創設、高速道路の無料化などが、民主党のマニフェストとして上がっています。これに対して、自民党などは財源をどうするのかという議論を投げかけていますが、どうなのでしょうか。
鈴木◎これも二つのポイントがあります。一般会計と特別会計の二つから捻出できるのです。それが212兆円あります。その1割ぐらいは無駄削減や効率的な活用で対応できるものなので、それをひとつひとつやっていくつもりです。
自民党政権時代に始めた既存の事業については、4年後に今の費用の9割でやるようにします。4年で1割減というのは、毎年2~3%ぐらいを予算削減すればいいのです。それぐらいは民間企業では当たり前のことです。それすら出来ない役人なら、やってもらう必要はありません。出来る人を民間から起用すればいいのです。それができなかったのは、膠着した予算編成をやってきたからです。完全に思考停止状態だと言っても過言ではありません。ですから、政権交代して頭のフレッシュな人が政治をやらないとダメなのです。
予算編成についても、まず官邸主導で概算確定を行います。それから8月末の各省庁の予算要求はやめます。これをやるからいろいろな要求が出てくるのです。新規政策については、各省庁がその確定した予算の枠内でブレークダウンして具体的中味を固め、そして今年は2%カット、3%カットと具体的に決めていくのです。例えば人件費や補助金などの費目ごとにこれだけ削りましょう、あるいは自分達が購入する物品調達をこれだけ削りましょうと、ザクッと目標を決めることです。机をもう1年使ったり、コピー用紙も裏まで使えばいいのです。
補助金が212兆円のなかで45兆円を占めています。天下り団体が4700団体あり、2万7000人が天下っています。そこに12.6兆円の税金が毎年流れ込んでいるのです。これを削減する必要があります。そして、中央省庁も肩たたきをしないで60歳までちゃんと雇います。公務員を60歳まで雇いつづけると6000億円の費用がかかりますが、12.6兆円の半分がカットできれば6.3兆円。人件費を引いても、差し引き5兆7000億円のカットになるのです。そういうことを一つ一つ見ていけば、財源は何とかなるのです。最初から20兆円というのではなく、1年目は8兆円、2年目は14兆、3年目は14兆円、4年目に20兆円になればいいのです。
前のマニフェストよりも時間軸をはっきりさせ、第一段階、第二段階、第三段階と三つに分けて、ステップバイステップで行っていくものです。そのための行程表をしっかり作っていけば財源的にもそれほど無理のあるものではないのです。
――ご自身も通産省のご出身ですが官僚が悪者になっています。役人というのは政治家によって変わるものなのでしょうか。
鈴木◎役人というのは役者と似ているのです。優秀な役人というのは優秀な役者と同じように、与えられて役を見事に演じるものなのです。成り切る能力が高いのです。例えば、財務省で予算をカットしていた優秀な人が、他の省庁に出向すればそこの予算を見事に取ってくるのです。早代わりするのです。したがってシナリオや、キャスティング次第でどうにでもなるのです。そのシナリオを書き、キャスティングを決めるのが政治の役割なのです。
経済成長してきた20世紀のシナリオと現在では違って当然なのです。今は国民生活を大事にするシナリオが必要なのです。シナリオさえ変えれば役人は見事に変身しますよ。シナリオを変えられなかった自民党の荒廃が問題なのです。
――そういう意味で、鈴木先生のつくられている「すずかんマニフェスト」では、“ソーシャル・ヒューマン・サービス”ということで凝縮されているのですが、まさに現代の国民生活が求めている政治的要求ということなのですね。
鈴木◎人間の幸せが、20世紀は3Cで言い表されていたのです。クーラー、カラーテレビ、自家用車というようなものだったが、今は物が足りているのです。人間と人間のコミュニケーションが必要なのです。
だから、よりよいコミュニケーションが行なえるよう、次世代を教育すること。それに、“衣食住”ではなく、医食住といっていますが、これが大事です。
――鈴木先生は、多趣味の人でもあります。高校生ではサッカー、またヨットとかスキューバダイビングなど、そして今は合唱などでもステージに出ていらっしゃる。
鈴木◎私はラテン系なので、歌とサッカーと海が好きですね。自然と触れ合うのが好きですね。今は教鞭とっており、学生との付き合いもありますし、NPOの活動を通じてのいろいろな出会いもあります。学生や若者と一緒にキャンプに行ったり海に行ったりしています。
人間の幸せは、お金や物ではないのです。インドの経済思想家のアマルティア・センという人がいるのですが、彼が言っている「ケイパビリティー」という言葉がありますが、潜在能力という翼を若い人たちに与えることです。教育の本質はそこにあるのです。
――有難うございました。
鈴木寛参議院議員のホームページ
http://www.suzukan.net/
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.dailytimes.jp/blog2/mt-tb.cgi/246


