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2008年10月31日

■名医訪問 “21世紀の国民病”と言われるC型肝炎に新視点「アタック療法」

医療法人社団 古賀クリニック 院長
医学博士
日本内科学会認定医
古賀一誠先生
Dr. Issei KOGA


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こが いっせい
1945年生まれ。71年九州大学医学部卒業。同年九州大学医学部
放射線治療科入局(77年まで在籍)。83年横浜市鶴見区に古賀ク
リニックを開業。翌年医学博士号を取得。鶴見区医師会の副会長など
を歴任。


C型肝炎ウイルスの脅威

 ここ数年、薬害によるC型肝炎の救済が社会的問題となり、私たちは改めてその病気の怖さを知ることになりました。患者さんたちの声は切実なものがあり、その病気の難しさ、大変さに驚かざるを得ませんでした。実際、肝臓というのは500種類もの働きをしているそうですが、最も重要な働きは体内から有害物質を排除する働きだそうです。それが機能しなくなると、有害物質が脳などにまわって、私たちの生命が危険な状態に陥ることもあるそうです。


 人間の体に必要な栄養分(糖質、タンパク質、脂肪、ビタミンなど)の生成や貯蔵・代謝を行う肝臓。そして解毒作用が行われなければ、活力も生まれず非常につらい生活を送らなければなりません。その機能を奪うC型肝炎ウイルスの保菌者が日本国内に260万人もいると言われています。まさに“21世紀の国民病”と言ってもおかしくはありません。


 そしてその感染を自覚しないまま症状が進んでしまう人がほとんどだと言われています。10~30年で約4分の1が肝硬変や肝ガンに進行するそうです。C型肝炎から肝硬変、そして肝ガンに進行すると、治療法も限られて非常に治りにくいと言われています。


 横浜市の住宅街に開業して25年を迎えた古賀クリニック(内科、小児科、放射線科、リハビリ科)の古賀一誠先生は、多くのC型肝炎の患者さんと接しています。


「私の義理の弟が肝炎になり肝ガンまで進行しました。それでいろいろ研究し始めたのです。いろいろ研究を重ね、現代医療を補完する『統合医療』に注目したのです。確かにインターフェロンはウイルスの増殖を抑えたり排除してC型肝炎にはいいのですが、副作用もありますし効かない人もいます。また治療にお金がかかります。副作用は人によって違いますが、脱毛や呼吸困難、甲状腺機能異常などをもたらします」と古賀先生。


 統合医療というのは、西洋医学に限界を感じるなかで、代替医療も視野に入れ、西洋医学と代替医療を組み合わせて行われるものです。


統合医療によるアタック療法

 C型肝炎ウイルスはその遺伝子の違いによって、1a、1b、2a、2bなどのタイプに分類さています。日本人に多いのは1b型(70%)で、インターフェロンが効きにくいタイプと言われています。 


 そこで古賀先生は、自己インターフェロンの産生能を高めることに注目したのです。もともと健康な人は自分でインターフェロンを作り出す能力は備わっているのですが、肝炎になるとこれが十分につくれずにウイルスの増殖を防ぐことができなくなるのです。


「免疫性を高める腸内細菌には注目していたのですが、それを食物で代用するとなると相当量が必要なってしまいます。そこで、効果的なものとして乳酸菌のエンテロコッカス フェカリスFK-23菌に注目して“アタック療法”を始めたのです」


 古賀先生は、薬剤投与で効果が見られなかった患者さんや、インターフェロン療法が受けられない患者さん、あるいはインターフェロンの副作用を避けたいという患者さんに摂取を勧め、肝機能があきらかに改善してきたことを目の当たりに見てきたそうです。


「患者さんには西洋医学の療法をじっくり説明したうえで、タイミングを見てアタック療法を勧めています。初期段階で摂取量を増やし、まず自己インターフェロン産生能を高めウイルスの活動を抑えようというのがアタック療法の狙いです」


 インターフェロンが合わない患者さんでも、アタック療法によって約3カ月で肝炎のウイルス量が4700から2043、GOT(AST)は82から26、GPT(ALT)は47から26に低下したということがあったそうです。


地域医療の重要性

 古賀先生はまた「地域医療」を非常に重要視されています。地域に根ざした医療は、患者さん一人ひとりと長く対応することで、その人の家族構成、性格、育った環境など患者さんの情報を満遍なく知ったうえで診察ができるという大きなメリットがあるそうです。


「患者さんとのコミュニケーションは重要な診察です。かかりつけの医者として信頼を持っていただけるのは、治療の大きな要素なのです」


 そんな古賀先生の心のこもった診療が評判を呼び、セカンドオピニオンを求めて遠くから患者さんがやってくることもしばしばあるそうです。とくにC型肝炎で悩んでいる患者さんは全国に多く、完全予約制による電話無料相談まで始めたそうです。


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電話相談をする古賀先生


 これは、NPO法人「統合医療と健康を考える会」の協力で、事前に会に申し込んでいただく形で行っているとのことです(無料電話相談の問い合わせは、メールアドレス:info@daitai.netまで)。取材当日も、10分ごとに予約された全国の患者さんからの電話相談が殺到していました。相談では担当のお医者さんには言えなかったこと、聞けなかったことを話す患者さんが多くいるそうです。診療の時に突然に言われ、緊張してしまうのでしょう。時間も経って落ちついてから本当に聞きたいことなど、あるいは自分の不安な気持ちを古賀先生にぶつけてくるそうです。


 また古賀先生は24時間体制で、在宅医療を行っています。寝たきりの老人や、神経が麻痺したり脳梗塞などで動けない人など80人以上の御宅に治療に出向いているといいます。地域の病院との連携も取って、在宅医療の必要な患者さんに対応しており、この地域には欠かすことのできない心強い味方と評判を呼んでいます。


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2008年10月01日

健康トピックス 気づかない健康バロメーター――足の水虫

帝京大学医真菌研究センター所長
スポーツ医療学科教授兼任
安部 茂 Shigeru Abe
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水虫とゴルファーの関係

 私は30年来、微生物と感染と身体の防御力について研究をしてきました。昨年よりスポーツを健康にいかすことをめざす学科として設立されたスポーツ医療学科で、微生物免疫学を教えております。健康を増進するには週に1回以上スポーツをすることが重要であることは証明されています。青空の下で、思いっきり球をとばせるゴルフもストレスを発散させ、体の抵抗力を高めます。


 ところで、ゴルフなどスポーツを愛好する人にとって危険な感染症として白癬があるのを知っていますか。白癬は、白癬菌という真菌の感染で起こる病気ですが、その感染部位から頭部白癬、体部白癬、股部白癬、足白癬、爪白癬などにわけられます。これらの中で、足白癬・爪白癬がいわゆる水虫と言われているもので、日本では国民の6分の1が感染しているという統計があります。白癬菌は、皮膚の角層を酵素で溶かし、それを栄養源として生きているので、暖かく湿った場所で発育します。そこで、足白癬になりやすい人は、靴を長時間履いているビジネスマン、角層の代謝回転の遅い高齢者と言われています。 


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 ゴルファーは、ラウンド中靴を履き続け汗をかきます。ホールアウト後に風呂に入り、まだ十分に足が乾かないまま靴を履き、家路を急ぎます。こういうことが、足の水虫を増加させる原因になっていると考えられます。


水虫のチェックをして見ませんか

 自分が水虫になっていても、それに気づいていない場合も多いのです。


 水虫だから痒いかというと、そうとばかりは言えません。痒いというのは、角層の白癬菌から産生される物質が、下層の角化細胞、神経細胞を刺激することによりおこります。したがって、角層の厚い「かかと」や「爪」の水虫になっても、ほとんど何も感じないのです。


 足の裏をよく見ると、足裏の固い角層がごわごわして、白いヌカ状の粉のようなものが浮き出ていたり、一部はうすいふけのような鱗屑をつくることがあります。これは、「角質増殖型白癬」の症状です。足のかかとなど厚い皮膚にできる白癬は、50歳代以上の方に多く、自覚症状が少ないのが特徴です。気づかないまま放置していると、菌が爪に入り、爪のケラチンを溶かし、空気層ができるために白色に濁り、しかも爪の下層で増殖し「爪白癬」をおこします。爪が厚く変形していく場合もあります。


 水虫の菌は、暖かくて、湿度が高い環境が大好きで、条件が良いとさかんに増えます。特に夏期は、水虫が繁殖しやすい環境なので、足指の間で湿った炎症をおこしたり、足の裏の比較的角層の薄いところに水泡を作ったりします。


 これらの水虫は、痒くなって、ひどいときは、我慢できないほどになり、かきむしり細菌も侵入して複雑な感染もおこします。痛みを生じることもあります。これらの型をそれぞれ「趾間型足白癬」や「水泡型足白癬」と呼びますが、30代以上で多いものです。


 心当たりがおあり方も多いかと思います。白癬菌はヒトとの相性がいいので、一度住み着いたら、ほとんどの場合、自然になくなることはないとされています。よく足の裏と爪をチェックしてください。


水虫の予防と治療

 家族の中に1人でも足白癬の方がいると、部屋の中のほこりなどから白癬菌が検出されます。従って、水虫の治療をするには、家族全員が一斉に始めるのがよいです。また、強い炎症を起こしている水虫には、細菌の感染が起こっていることがあり、処置が難しいものもあります。少し涼しくなってきた秋口で症状が治まっている今が、治療を始めるには良い季節なのです。薬剤師または医師によく相談して、適切な塗り薬や内服薬で治療を開始すれば、水虫の苦しみから解放されることも夢ではなくなるはずです。


問題はこれらの白癬菌が厚いケラチンの層の中にいるため、薬剤が到達しにくいことです。従って、薬をつけるときは患部だけでなくその周辺にも広く、根気よく薬をつけることがポイントです。また、再発の防止をするため、直ったと思っても、さらに2週間以上治療を続けるのが肝要です。


 再感染を防ぐには、菌がいるかも知れない足拭きマット、スリッパなどで、足が汚れたと思ったらよく洗うこと、自宅に帰ってからでも風呂で足を洗うことです。足に付着した菌は、12時間以内ならば、石鹸で洗うことで簡単に洗い流せます。なお、繰り返しますが、菌は高温多湿な環境で繁殖しますので、足が蒸れやすい靴の使用を控え、なるべくサンダルやメッシュの靴をはくことも有効です。暑い東南アジアより、ブーツなどを履くロシアの方が水虫になっている人が多いのです。


新しい水虫治療作戦

 わが国では、有効な抗真菌薬が開発されていますが一向に患者数の減少は認められていません。一番の原因は、治療に手間と時間がかかり、直りきらないことが多いことです。


 昔から湯温の高い草津温泉などは、水虫や皮膚病に効くといわれますが、帝京大学の医真菌研究センターでは、足白癬や爪白癬の新対策として、東芝病院皮膚科との共同研究で、足湯療法を研究しています。実際42℃ぐらいの少し熱めの湯の中に20分ほど漬けると、白癬菌の99%を殺菌できること、さらにその湯にパルマローザなどの有効な植物精油を0.8%加えておくと、殺菌作用が格段に増強されると言う結果をえています。実際の臨床試験の結果は、下図に示すように患者さんの症状の改善も早期におこり、菌の陰性化がいち早く認められるという有望なものです。


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 この試験では、微量の抗真菌薬も加えて、効果を強めています。植物精油は、少量でも有効に作用しまので、ごく少量(0.8%)を入れたお湯(42℃くらい)の中に20分くらい足首までつけるという方法です。実際にやってみると、良い香りでリラックスして、皮膚にもいい効果を生むと好評です。10年後のゴルフ場の光景として、ホールアウトした後皆さんで足湯をする姿が見られるかもしれないと期待しています。

 
白癬は、健康のバロメーター

 ところで、同じ環境で生活しても水虫になりやすい人と、そうでない人がいます。足の裏の角層の代謝が感染防御に働くことは知られており、年齢を重ねるに従い、血流の低下とともにその代謝が遅くなることが高齢者の足白癬の増加の一因になっています。


 それとともに、免疫力も重要です。角層の中にも抗菌物質があり、その量はサイトカインという免疫を調節する物質で高まることが知られています。


 逆な言い方をすると、足白癬や爪白癬の症状の悪化は、血流の低下や免疫力の低下を知らせてくれるバロメーターと言えます。最近、これらの水虫を心筋梗塞の発症リスクの高まりとして注意すべきだと報告もされています。


 したがって、月に1回ぐらい自分の足をよく見て、自分の健康度をチェックすることが健康な生活を送る上で、必要な習慣だと思います。もし、免疫力が低下していると感じたら、乳酸菌や担子菌などの免疫賦活力を利用するとよいと私は思っています。

 私達は、腸球菌(エンテロコッカス・フェカリス菌のFK-23菌など)の経口摂取が生体の低下した免疫力を高め、真菌だけでなく細菌、ウイルスの感染に防御効果を発揮することを論文として発表しており、今後も乳酸菌や担子菌を利用して国民の健康に寄与できるような研究を進めていきたいと思っています。


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あべ しげる
東京大学薬学系卒業、東京大学薬学系大学院博士課程修了。
帝京大学薬学部講師、医学部助教授を経て、帝京大学医真菌研究センター教授、現在所長。
帝京大学医療技術学部スポーツ医療学科教授兼任。日本医真菌学会理事。