【座談会】暴挙が続くRCCの債権回収と問われる存在意義(上)
(出席)
前田雄吉衆議院議員(民主党)
椎名麻紗枝(弁護士)
北健一(ジャーナリスト)
司会/今西憲之(ジャーナリスト)

今西 ご多忙の中、ありがとうございます。7月と8月の2度にわたり、RCCが川治温泉・柏屋ホテルの破産を申し立て、破産法を利用して債権回収を企てたというひどい話をベースに、RCCの非道ぶりを追及するとともに、今後のあり方について徹底して討論したいと思います。しかし、RCCは我々の概念で言えば一種の「悪代官」だった。それが、朝鮮総連問題で展開が変わってきました。
前田 国民的に見て分かりやすいのですが、紙芝居のように朝鮮総連は悪、RCCは善という構図です。それで自分が生き残ろうとするのはおかしい。
今西 朝鮮総連とRCCの問題を簡単に説明すると、RCCは「朝銀東京信用組合」など破綻(はたん)した在日朝鮮人系の16信用組合から引き継いだ不良債権のうち、総額628億円が実質的に在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)への貸付金だったと認定し、全額返還を求める訴訟を東京地裁などに起こした。裁判では朝鮮総連側の敗色が濃厚。判決が出る直前、元公安調査庁、広島高検検事長で弁護士の緒方重威氏の経営する会社に所有権が移転。強制執行逃れの疑惑が浮上。また、緒方氏は代金を払っていないにもかかわらず、所有権を移転させたことが問題になっている。(座談会収録時は、まだ緒方氏らは逮捕されていない)
椎名 緒方弁護士と満井さんは、私が受任していた刑事事件の相手方だったので、よく知っています。しかし、満井さんは、執行猶予にはなったものの、整理回収機構から強制執行妨害で告発され、有罪判決を受けている。満井さんは、整理回収機構にはとても警戒していた人です。「整理回収機構は、預金保険機構を使って、刑事事件に引っかけてくる」とよく怒っていた満井さんが、整理回収機構がからんだ事件で、強制執行妨害になるようなあるいは詐欺になるような見え透いたヘマをやる人とは思えないのですよね。
今西 ましてや、満井さんには、緒方弁護士が影のようについている。そもそも、整理回収機構が朝鮮総連の不動産に仮差押さえもしないでおいたことも、また朝鮮総連の代理人の土や弁護士がお金ももらわないで、所有権の移転登記手続きに応じていることも解せない話です。なにか裏がありそうですね。
北 普通なら、任意売却するとしてもRCCと話ができているはず。競売価格より任意売却の価格が高く、より多く回収できれば債権回収上は問題ないはずですが。
椎名 朝鮮総連の代理人で元日弁連の土屋公献弁護士、緒方氏も元高検検事長。そんな方たちがやる取引じゃない。北朝鮮、RCC、安倍総理などのキーワードから推測すると、どこかRCCの役割が大きいような気がしてならない。
前田 朝鮮総連問題はRCCにとっては、天からの恵み。自分たちは日本の国のために、こんな大事なことしているんだという絶好のPRになる。

前田代議士
今西 本当なら、潰れなきゃいけない、潰すべきRCCが、一躍、善玉に。
北 ここでうまく立ち回れば、全国には破綻した朝銀などからひきついだ不良債権が数多くRCCの手元にあるはず。中央本部に匹敵するような不動産もあるでしょう。事件がイメージアップにつながれば、今後仕事はしやすいですよね。
前田 ラッキーですよね。
今西 そこで、本題です。柏屋ホテルの破産をめぐる問題。さまざまな問題点があります。まず、最初にRCCがいかにひどいことを柏屋ホテルでやったかを論じたい。
前田 わかりやすい例で言えば、1人1泊2食で1万6950円のしゃぶしゃぶコースを1万円にしろとやった。柏屋の片山社長(当時)によれば、映画の1シーンをみるような感じで、どやどやと、20人近くで破産決定した時に押しかけてね。誰だって恐れおののく。そんな時に、泊まらせろ、料金をまけてくれといわれると「はい」と首を立てにふるしかない。国の税金が原資で国家権力をバックにした国策RCCは会社ならではの、傲慢そのもの。
椎名 その後も管財人の補助者と称する2、3人がずっとホテルに居座っている。最後に、宿代は精算するとは話していますが。

椎名弁護士
今西 聞くところによると、温泉に入る入湯税というのがある。1人100円程度ですが、補助者が宿代を払わないので、仕方なく立て替えているそうですよ。小額とはいえ、これも税金。税金を滞納していることになる。
椎名 3月末で延べ140人が宿泊している計算です。
前田 RCCは多額の税金を投入してできたゆえに、国策会社といわれる。そこが税金を滞納するなんて、国策会社の資格がない。これは、国家権力、優越的な地位に物言わせた、タカリ。そこで、タカリの連中の名前を出せと、法務省に言ったら「うちじゃなく、管財人に言ってほしい」という。そこで、管財人に聞くと「悪くないでしょう」と開き直る。
今西 北さんは管財人にインタビューをされましたね。
北 柏屋ホテルの破産管財人である白井裕己弁護士に話を聞いてみると、まず事務所の方が「うちの弁護士は何も知りません。RCCに行ってください」と不思議なことを話すのです。「いや、破産事件は管財人が仕切るのだから、先生が知らないなんてないはず」と頼んで、白井先生からお話を聞くと本当に知らなかった。(笑い)
今西 名義を貸したとでも言うのでしょうかね。
北 白井弁護士は「頼まれたので引き受けたが、準備から資金面から大事なことはRCCがやっている。どういうスキームなのか、自分にはわからない。RCCはハゲタカだと言われるが、たしかにそういう面がある」というのです。RCCは柏屋の破産処理が再生だというが、どうみても回収。それについて聞くと「RCCはええ格好したかったんでしょう。潰すばかりではなんだから、たまには再生もすると」と話していた。
前田 ぼくは悪くない、それだけが言いたいような弁護士ですね。
椎名 これでは、管財人じゃなくRCCのあやつり人形。完全に、RCCと管財人が一体になっています。本来は中立でなければいけない管財人。こんなおかしなことはありません。
北 ただ、白井弁護士自身はそんな悪そうな人じゃなかった。普通の弁護士さんですよ。
椎名 宇都宮市の弁護士はおそらく50人ほどでしょう。みんな仲良しですから「お願い」「いいよ」と軽く引き受けたのでしょう。
北 地元を歩いて感じたのは、情報操作ともいうべきRCCの広報のうまさ。柏屋の事業を継承させるために、破産法を使ったんだと。普通なら2年か3年かかるものを、1週間で処理したような報道になっている。
今西 こんなときだけ、RCCは頑張って広報するんですね。(苦笑)
前田 みんな柏屋が継承されると、美談として書いているんですよ。私もびっくりしました。地元では、数多くの出入業者が、お金を払ってもらえず泣いているですよ。柏屋以上に、頭を抱えているのは、地元の業者さんたち。それに、債権者平等の原則に反してRCCが自分の債権だけを回収しようとしている。皆、売掛債権で困っているのに。
椎名 RCCは再生と耳障りがいい言葉を並べている。しかし、破産させて、自分たちの自由が利くようにして、高く売る。その実体は、白井弁護士の言う通りで、言葉を使い分けているだけ。
今西 RCCは私と北さんで取材に行くと申し入れると、北さんはいいが今西はダメやと。(爆笑)
北 ぼくは今西さんほど悪くないというか、まだまだ取るに足りないということなんでしょう。(笑い)
今西 それはそれで、RCCはどんな見解を。
北 RCCの常務執行役員で弁護士でもある山川隆久さんに聞きました。「うちは、破産申し立てをしただけで、あとは管財人の下でやっている。運営支援にも、売却先探しにも関わっていない」と説明していました。けれども、それは管財人の証言とまったく食い違う。地元を歩いて、山川さんの説明をそうですかとそのまま信用できません。

北 健一氏
椎名 今回、マネジメントベストサポートという会社がなぜか、管財人の補助をやっています。RCCは随意契約で、この会社を補助者に選んでいます。補助者は法的な裏づけもなく、なぜ必要なのか。補助者には当然、費用を払わなければなりません。聞けば、運営支援という名目で、1580万円というかなりの金額で仕事を請け負っている。
北 マネジメントサポートの見積では、かなり優秀な人を4名派遣しているような内容で、お金を請求している。しかし、柏屋に行って仲居さんやフロントに聞いてみたら、最近は来ているのは1人だと。宿の運営は支配人さんをはじめ元からいた人たちでやっているから、旅館運営自体では新たな人はいらない。運営支援の経費が過大に請求されている可能性があります。そして、マネジメントサポートに電話をしますと「どこでこの電話番号を知ったんだ」と怒っている。これが公共事業を受注する会社なのか。
前田 1人いる人は、花見なんかしてて、ただそこにいるのが仕事って感じでしたよと、私は聞いています。
椎名 ホテルでスパイみたいなことをやっているそうです。誰が女将さんのところに行った、誰と誰が仲良く親しいとか。
今西 とうてい、運営支援とは関係ないですよね。マネジメントサポートを調べると、電話番号すらNTTの検索でも出ない。公に登録されていない。そんな会社が、公共事業をする資格があるのか?
前田 マネジメントサポートという会社は、登記などを見ますともともと印刷屋。そこが温泉旅館の経営指導できますか。しかも、4人も人を送り込んでいます。そのお金はどこに消えているのか。
椎名 管財人もこのマネジメントサポートのことは、あまり把握していないのでしょう。
北 管財人の白井弁護士は、「RCCが連れてきた。私のような田舎の弁護士にそんな知り合いはおりません。見積もRCCが取らせたのでしょう」と話していた。小泉内閣時代、政府のタウンミーティングを大手広告代理店が随意契約で受注し、1回1900万円近い開催費用を取っていた。競争入札にしたら、費用がほぼ半額に下がった。随意契約によって公共事業から言い値で利益を得るという側面では、同じパターンじゃないか。
今西 そこで、管財人をRCCがなぜそこまで操れるかという問題において、裁判所との「特殊」な関係があるという見方があります。椎名先生からご説明をお願いします。
椎名 今年2月に、宇都宮地裁で破産の審尋手続がありました。そのとき、なぜか裁判官が4人も法廷にいたのです。
北 普通は1人か、合議なら3人ですよね。
椎名 信じがたいことが起こっているのです。これは、司法権独立を考えると重大な問題です。おかしいなと思って調べると、なんと宇都宮地裁の園尾所長が同席しているのです。とんでもないことです。
前田 これは、司法の独立を放棄するような大きな問題だ。
(以下次号)




