落ちた神通力!!日弁連・RCCの鬼追明夫元社長の懲戒問題
本誌がこれまで追及してきた、日本弁護士連合会元会長であり整理回収機構(以下、RCC)元社長でもあった鬼追明夫弁護士が、RCC社長であるにもかかわらず、RCCの債務者から顧問料を受け取っていたことに対する懲戒請求事件。

鬼追明夫日弁連元会長、RCC元社長
本誌が2月1日に報じたように、大阪弁護士会綱紀委員会は鬼追氏に「非行がある」との議決を下し、懲戒委員会に最終的な判断を委ねている「事件」である。
本誌が入手した「議決書」を精査してみると、そこにも鬼追氏の「ウソ」をかいまみることかできた。
鬼追氏は「議決書」の中で、さまざまな弁明をしている。その中で、明らかに弁護士として問題ある言動がある。
鬼追氏は平成11年4月RCCの副社長に就任し、8月に社長に就任した。同じ事務所でT社を担当していた弁護士を通じて、
「RCCに関する法律相談、その他法律事務は受任できない」
と説明したとされる。
だが、その前段で鬼追氏は取引銀行の借入金問題の相談を受けていると述べている。当時からT社は、銀行の債務について相談をしなければならない状況にあったのだ。それが、RCCに移行した。さしあたっての、相談はRCCに関することしかないのである。
だが、鬼追氏はRCCの人間でもあり、相談が受けられない。そこで同じ弁護士事務所の弁護士が、鬼追氏に代わって顧問になったという。
「同じ事務所で、しっかり秘密がガードができるのだろうか。RCCのような国策会社という性格からすれば、役員と同じ事務所の弁護士は、債務者の依頼は控えるべき」(椎名麻紗枝弁護士)
となれば、何のための顧問弁護士なのか。その役割が正直、果たせない。にもかかわらず「顧問料」だけはしっかりとちょうだいしていたのだ。
そして、平成15年12月20日に、鬼追氏は同じ事務所の弁護士とともに、T社の社長N氏と面談。
「鬼追氏から『要望というか苦情を社長気付で送って下さい』(中略)私(鬼追)が目を通して指示することができる」
とN氏は言う。
鬼追氏も「議決書」の中で、N氏と会ったことは認め、
「社長直轄組織の苦情相談室を存在を話し、不満、苦情を書面にして送付すれば」
などと話したとし、それ以上の具体的な話はしていないという。
たが、N氏の作成している書類によれば、鬼追氏は苦情件数を具体的に述べ、手紙の書き方については、
「同じ資料を何回も要求してくる。いくら話し合っても何カ月経っても、適格な返答が無く放置されたままである」
と書くように指示しているのだ。
これは一般論ではなく、T社の状況をよく理解して、アドバイスをしているのである。
「適切なアドバイスと納得し12月26日付けで手紙を送った」
とも、N氏の書類には書かれている
鬼追氏は「議決書」で具体的な指示や決裁をした場合は、弁護士倫理に触れる可能性があることを認めている。
だが、RCC社長時代には、債務の相談似応じたことはないから「懲戒」や「非行」にはあたらないという説明を展開している。ここまで「具体的」な指示をしていながら、逃げるのである。
本誌でもかつて触れたように、RCCでは役員など幹部の弁護士が、顧問先や受任先についてRCCの債務者がいる場合は、事前に届け出を求めている。問題ない場合は、そのまま顧問契約の継続もできるとしている。
だが、鬼追氏は顧問料をとっていながら、RCCの同意を得ていなかった。
それに対して、鬼追氏はこんな「詭弁」とも思える弁明を展開する。
「平成14年から16年のRCCの債務者数は10万人を超えていた」
「膨大な数にのぼるRCCの債務者のうちの1社と顧問契約を解除しなかったことを根拠に懲戒に付すのは失当」
数が多いから債務者が一人くらいてもいい1社くらいなら顧問契約を結んでいてもいいというのだ。
そして、こうも述べる。
「本件のような問題はかつて論じられていない。予想されない事態」
日本の裁判は、過去の判例を重視する「判例主義」と言われる。とかくそれが批判の的となるが、問題が論じられていない、予想されていないからといって、許してもらえるものなのだろうか。
そして、鬼追氏は最後にこう述べる。
「倫理上、差し支えないものと判断した」
取り立てる側が取り立てられ金を払う側の顧問弁護士になる。どちらも請け負うのだ。日本の弁護士の最高峰を究め、国策会社社長の地位にあった人間が、堂々とそう述べるのだ。
議決書の中で、大阪弁護士会は顧問料を大きな問題にしている。
「RCC社長にありながら、RCCの債務者の顧問弁護士として顧問料を受領し続けることは、弁護士職務基本規定27条3号の『受任している事件(RCCの代表取締役という地位にあること)』の『相手方からの依頼による他の事件(顧問弁護士として顧問料を受領すること)』に該当するものとして、依頼者であるRCCの同意も必要」
だが、鬼追氏はRCCで同意をとることはまったくなかった。
RCCの社長だが、債務者のT社の顧問で、いわば「両方の味方」という奇妙な立場にいたのだ。
そこが、懲戒対象行為である。

大阪弁護士会
さまざまな「詭弁」を使っても、懲戒を免れようとした鬼追氏。だが、神通力も失せたのだろうか。大阪弁護士懲戒委員会の判断は、今年夏にも下される見込みだ。




