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2008年08月01日

1億2000万円で和解した住専庭山社長が和解直後に購入した億ションの怪

 日本でも有数の高級住宅街、東京都大田区の田園調布。閑静な住宅街に行き交う、高級車、広大な敷地を持つ邸宅。まさしく、日本を代表する高級住宅地の一角に、これもまた高級マンションがある。


 30戸ほどのこのマンション。その1室に「庭山」という人物が住んでいる。住民に聞くと、


「かなりのご高齢のようで、ほとんど姿をお見かけすることはありませんね」


 この「庭山」という人物。かつて、旧住専の日本住宅金融の社長、庭山慶一郎氏のことである。


 庭山氏は、長く日本住宅金融の社長をつとめ、住専問題が勃発した時は「ミスター住専」と呼ばれた。国会で証人として呼ばれた時も、一貫して住専の立場に立った証言を繰り返し、ブーイングの嵐にみまわれた。


 庭山氏はその後、旧住専が破綻。その時点では社長の座からは退いていたが、経営責任を問われて、整理回収機構(以下RCC)から賠償を求められていた。


 平成10年8月11日の毎日新聞(夕刊)が手元にある。庭山氏とRCCの和解が成立したという報道だ。


RCC8.jpg
平成10年8月11日の新聞報道


 庭山氏は自宅を売却して、和解金の1億2000万円を用意したというのだ。


 確かに、それで一定のケジメはついたかもしれない。だが、ここに、冒頭に登場する田園調布の高級マンションの登記簿がある。その一室に登記されていたのが、庭山氏とその妻の名前だった。


 購入した日付は、平成10年10月30日。RCCと和解して、2カ月ほどでマンションを購入しているのだ。毎日新聞の記事や当時の報道を見ると、庭山氏の1億2000万円の和解金は安いが自宅を売却して責任をとったことが、RCCの評価の対象であったという内容の記事が多くみられる。


 だが、和解直後に地元では「億ション」と言われるマンションを購入しているのだ。さらに不動産登記簿を読み進めると、庭山氏のマンションには抵当権設定がなされていない。マンションを担保に資金を借り入れた様子はない。現金で買っているのだ。


 インターネットで不動産情報を検索すると、庭山氏の築10年を経過している中古マンションでありにもかかわらず、今も「億ション」の相場を示している。地元の不動産業者に聞いてみても、


「田園調布では数少ないマンション物件。あそこは戸数も少なく、管理もいいので人気物件です。(庭山氏が住んでいる占有面積約80㎡の物件は)マンションの中では小さめの物件ですが、それでも億に近い値段です」


と話す。


 これまで、RCCを何度も追及してきた。会社だけでなく、家も失い、家族も離散したという債務者をたくさん見てきた。なかには、自殺をしたり、RCCとの交渉に疲れ果て病に臥した人もいた。それも多くが旧住専の債務者ではなく、破綻金融機関や健全行からRCCが債権を買い取った債務者だ。


 庭山氏は債務者ではない。だが、旧住専の破綻を招き、6850億円もの負担を国民の税金に求めたのだ。ある意味、直接の債務者よりも責任重大と言える。それが「億ション」を即金で買い求めているのだ。


 また、庭山氏は「産地偽装」「使い回し」で廃業を余儀なくされた、船場吉兆。吉兆グループの財団法人、湯木美術館の理事にも名を連ねていた。理事としての報酬も得ていたのではないともみられる。


 1億2000万円という和解金は、まさに「低額」としか思えない。それに、RCCの債務者の悲劇から比べると、あまりの落差だ。


「日本住宅金融の社長時代、庭山氏は確か、田園調布かその付近に豪邸に住んでいた。それを売ってRCCに和解金を払い、残った金でマンションを買ったらしい。マンションが仮に1億円だとして、和解金とあわせて2億2000万円。豪邸は3億円くらいで売れたという噂を聞いたことがある。それでも1億円近く手元に残る計算になりますね」


 と日本住宅金融時代から庭山氏をよく知る人は言う。


「RCCは債務者に余剰つまり余裕ある資金は残させないで、すべてを回収するんだと私が交渉した時に言ったことがある。庭山氏の億ションの話を聞くと、本当に怒りがこみしげてきます」


 と話すのは、RCCに詳しい椎名麻紗枝弁護士。


 RCCの債務者と庭山氏のこの違い。どうみても不公平としか思えない。RCCは何らかの「手心」を加えたのか。現在は90歳を過ぎた高齢だという庭山氏。いつしか、和解交渉の全貌を語ることはあるのだろうか。