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2008年10月31日

やっと結論が出た鬼追日弁連元会長(RCC元社長)の懲戒処分(下)

 整理回収機構(以下RCC)元社長で日本弁護士連合会元会長の鬼追明夫氏の「双方代理」問題に伴う懲戒請求は、『デイリータイムズ』前号(10月1日発信)でもお伝えしたようにやっと「戒告」という議決がなされた。


 懲戒請求に当たっては、弁護士法25条の「利害相反する事件については、その職務を行ってはならない」という項目に抵触していると指摘した。


 判断については、まず議決書はRCCに関しては、


<法律によって設立された国策会社である。この点において、営利追求を目的とする一般の私企業とはその性質を異にしている>


<社会性、公共性が強く、それだけに業務の遂行に当たっては厳正かつ公正な処理が強く求められている>


 との前提を述べている。


 そして、弁護士資格を有しながらRCCのトップになったということが、<RCCの不良債権回収業務について受任した関係に立つ>とされている。つまり、鬼追氏は社長になった時点で、ある意味RCCの不良債権回収すべてにおいて受任したともいう解釈が成り立つのだ。


 その後、平成15年12月20日に鬼追氏とT社は面会。その時に当時の社長N氏は、鬼追氏にRCCの不満を述べた。そして鬼追氏は、

「社長直轄の苦情相談室がある」


 とN氏に説明した。議決書ではこれは助言ではないというが、その直後にN氏は苦情相談室に手紙を送っている。これが助言でなければ何か。おまけに、苦情相談室は鬼追氏自らが、


「社長直轄」


 としているのだ。


 平成15年12月の面会後は、RCCとT社で問題が生じていることを認識した鬼追氏。


<対象会員が、RCCの相手方債務者であるT社から引き続き顧問契約をして顧問料を受け取るについては、旧弁護士倫理26条4号についても同条の但書によって『受任している事件の依頼者』であるRCCの同意が必要>とRCCの同意が必要にもかかわらず、とっていなかった。


 鬼追氏は「T社の同意があったからRCCの同意は不要」と主張した。


 だが「私もRCCの役員就任時には、顧問先を見てみました。RCCと関係があればやめるか同意をもらわなければならないと思ったからです。そうしたのは、RCCに債務者の顧問はできないという規定があるから。もし、例外的に利害相反がない場合はRCCとしては顧問先の同意を求めるように決めている」とRCCの広報担当取締役だった山川氏は、そう説明していたのだ。


 鬼追氏はRCCが作った規則を社長自らが破ったと公言しているのだ。これが、社長の真の姿とはあいた口がふさがらない。


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鬼追明夫前RCC社長


 そして最終的な判断では、顧問契約の受領については、弁護士倫理26条4号には反しないとしている。だが、RCCとT社の紛争を知った後は、RCCの同意が必要だったと、議決書は判断を下しているのである。


<RCCが対社会的にも厳正、公正な不良債権処理業務等を果たすべきことが強く要請されていることからすれば、社会的に見ればその職務執行に疑念を抱かせるもの(中略)対象会員の行為は、弁護士法25条3号および旧弁護士倫理26条4号の規定に違背するものであると言わざるを得ない>


<対象会員の行為は、弁護士法56条に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する>


 と結論づけたのだ。


 しかし、鬼追氏の代理人は、


<T社から顧問契約解消の申し出はなかった>


 などと責任転嫁するような理由を持ち出した上で、平成15年12月にT社側との会談でも、


<指示はしていない>


<T社が回収業務に不満を持ったからといって、利害対立が顕在化したことにならない>


 と信じられない抗弁をしている。


 そして、重ねて


<T社の同意があり、適用されない。(中略)とうてい理解できない>


 と弁護士法の適用される事案ではないというのだ。


 だが、先にも述べたように、同意をとるようにという規定がRCCでもある。にもかかわらず、とっていない。RCCというのは国策会社だ。その規定を破るというのは、ある意味「違法行為」である。


 長くいろいろ書いてきたが、借金を回収する側と回収される側、両方の代理人であることが、おかしいと私は主張してきた。
 ましてや鬼追氏は弁護士であり国策会社の社長という立場にあるのだ。


 議決書にもあるように、


<弁護士としての職務執行の公正に疑いを抱かしめるような行動を取らないことが格別に求められる>


 のである。


 大阪弁護士会の判断には納得できない点もあるが、ある意味、一般市民の視点がある内容だ。だが、鬼追氏は日弁連への不服申し立て請求を行うことまで示唆している。


 そんなことをしている場合か。まず、土下座して国民に「戒告処分」と判断されるような疑惑ある行為をしていたことを詫びるべきだ。それは、こんな人物を社長にしていたRCCにも言えることだ。猛省すべきである。


2008年10月01日

やっと結論が出た鬼追日弁連元会長(RCC元社長)の懲戒処分(上)


 <懲戒書>というタイトルの文書。<主文>には<対象会員を戒告する>と記されてある。対象会員とは、整理回収機構(以下RCC)元社長で日本弁護士連合会元会長の鬼追明夫氏。


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鬼追明夫日本弁護士会元会長 


 これまで『デイリータイムズ』で追及してきた鬼追氏の「双方代理」問題で、9月16日大阪弁護士会は前述のように「戒告」という処分を決定した。


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 日弁連会長経験者に弁護士会の処分が下ったという例はこれまでなかったという。『デイリータイムズ』では、初代RCC社長の中坊公平氏についても、これまで厳しく追及してきた。中坊氏の「詐欺的回収」事件の時にも、大阪弁護士会に懲戒請求がなされ、その時は綱紀委員会では「懲戒相当」としながら懲戒委員会ではなんら処分が下されなかった。


 そういう意味では、今回の「戒告処分」は評価すべき点もあろう。事実、大阪弁護士会の幹部の一人は、


「キミには頼りない内容かもしれないが、日弁連の元会長を懲戒処分するというのは、弁護士の世界では、清水の舞台を飛び下りたようなもんなんだ。理解してくれよ」


 と電話をよこした。


 裁判で言えば判決文にあたる、懲戒処分の詳細を記した議決書を読むと、鬼追氏が弁護士としてお粗末だったことを痛感せざるを得ないのだ。それで「戒告」程度ですませてよいのだろうか。


 議決書では、本誌で報じていたように、平成5年9月から鬼追氏がT社と法律顧問契約を締結していたこと、T社はN氏のオーナー会社であったことなどを事実として認めている。


 そして、驚くことが記されていた。


<RCCでは代表取締役は3名であり、内部的には弁護士出身の対象会員が債権回収業務を担当>


 とあるのだ。鬼追氏が債権回収業務の一番のトップの座にいたことがよくわかる。


 それにもかかわらず、大口債務者である、T社の顧問の座に居座り、毎月、顧問料10万円の請求書を発送し、受け取り続けていたのだ。議決書でも


<平成11年4月にRCCの副社長、同年8月に代表取締役社長に就任したのであるがその社長在任期間中である平成16年3月まで、さらにそれ以降も本件顧問契約は継続していた。その間、対象会員は、T社から前記顧問料を受領していた>


 と認定しているのだ。


 議決書は<対象会員とRCCとの関係>と見出しをつけて、こう書いている。


<対象会員は、平成5年から平成11年3月まで村本建設の更生管財人及び同社の顧問に就任していた。平成11年3月に、対象会員のRCCの副社長就任が具体化するに及んで対象会員は、同社に対する旧日本債券銀行の債券をRCCが譲り受けることが判明したことから同社の更生管財人を辞任(中略)RCCの確定更生債権に関わる業務に一切関わらないことを条件に村本建設との顧問契約は継続した>


<対象会員と法律顧問契約を結んでいたダイヤ建設について、同社に対する日債銀の債権が同銀行の破綻に伴いRCCに債権譲渡されたことを知った直後の平成11年11月9日にダイヤ建設との法律顧問契約を解消>


 鬼追氏は、他の顧問先でもRCCとの債権債務の関係があるとわかった時点で顧問契約について見直しし、ダイヤ建設に至っては、顧問契約を解消しているのだ。鬼追氏は、その時点で「まずい」ということは十分に理解していたことになる。それは


<RCCとこれらの会社との間の利益相反を慮っての処置>


 と議決書でも結論づけている。


 だが、鬼追氏は金銭欲のためか、弁護士としての怠慢だったのか、理由は不明だが、T社の顧問を継続したのだった。
 ただ、あきれるばかりだ。 

 そして、議決書ではN氏が大阪弁護士会に提出した陳述書で


「あまりにもひどいので抗議するため」


 として鬼追氏に面会を求めたことを明かしているという。


 鬼追氏は一度は面会を断りながら、最終的には平成15年12月20日に面会。


<対象会員は、RCCの社長直轄組織である苦情相談室があることを教示し、同社に対する不満、苦情は書面で送付すればRCCにおいて改めるべきは改めるだろうとと述べた> と議決書では、面会の模様のやりとりをそう記している。


 『デイリータイムズ』では、これまでもっと突っ込んだやりとりがあったと、N氏のサイン入り書面などを根拠にそう書いてきた。だが、議決書は「助言はない」として認定していない。それでも、社長である鬼追氏が前述のように述べたことは認めた。


<RCCの代表取締役社長である対象会員に直接面会して(中略)抗議、直訴することによってRCCの自社に対する債権回収業務のやり方を緩和もしくは何らかの形で影響力を行使してもらえるのではないかと、といった思惑ないしは期待をこめていたは十分窺えるところ>


 と議決書でも認めるように、鬼追氏の「力」に期待した。そこで、面会直後の12月26日に抗議の書面をRCCに送付しているのである。


 顧問をしている弁護士の社長が、自分の直属の機関に手紙を送れというのは、自ら解決に乗り出してくれると考えるのが、一般的ではないのだろうか。まさしくそれこそが「助言」だったのだ。


 ところで、この鬼追氏がT社の顧問弁護士になったのは、T社の法律顧問をしていた熊谷尚之弁護士の紹介によるものだった。そしてT社とRCCの交渉については、鬼追弁護士と熊谷弁護士が深く関わっていたことが明白である。


 実はこの熊谷弁護士。最近、違う案件で大阪弁護士会に懲戒請求されているのだ。それは本誌でも追及している「学校法人・常翔学園」をめぐる問題である。


「学校法人・常翔学園の理事長派と反理事長派が対立。その収拾を熊谷氏が弁護士という立場だったので対応していた。それがいつのまにか理事長側の立場になり反理事長側の情報を流しているという疑惑がある」と、懲戒請求を出した学校法人関係者は訴えている。


 これも、熊谷氏の弁護士としての品格を問うた懲戒請求である。(以下次号)