環境問題でアメリカは「京都議定書」に参加すべき
旧聞で申し訳ないが、昨年末に東京・日本橋の三越本店で開催された「2006年 報道写真展」を覗き、大雪にはじまり地すべり、竜巻など地球の自然に関わる出来事が続いたことを思い出した。ところが今年は暖冬で、東京では初雪のないままに春一番を迎えるという状況。地球がおかしくなっている。環境問題が現実問題として、われわれの日々の生活を襲い始めていることを実感せざるを得ない。
日本を含め世界の国々で、地球の温暖化を防ごうとして「京都議定書」なるものを取り決め、それぞれの国が二酸化炭素の輩出を抑える努力をしようと決めている。具体的には、先進国等に対し、温室効果ガスを1990年比で、2008年~12年に一定数値(日本6%、米7%、EU8%)を削減することを義務づけている。
しかし、大国アメリカがこの議定書にソッポを向いたのだ。脱退を決めてしまったのである。いろいろな利害関係の末に決めたことだろうが、納得がいかない。アメリカだけが自ら吐いた唾の被害に遭うのは構わない(失礼!)が、全地球的問題になるのは必至のことである。
そのアメリカの元副大統領のアル・ゴア氏が熱心に、地球温暖化の危機を説いて回っている。その映画が1月20日から放映され評判を呼んでいる。彼のスライド講演をドキュメントした映画『不都合な真実』は、われわれへの警告とともに、地球の歴史でやがて訪れる氷河期を想起させるものであった。
キリマンジェロの雪は解け、北極の氷が薄くなって、世界各地でハリケーンや台風をはじめとする異常気象が続いている。北極はこの40年間に40%縮小し、今後、50~70年で消滅するとまで言われいるのだ。ゴア氏が地球温暖化防止のために、『地球の掟 文明と環境のバランスを求めて』という著書をまとめたのが92年のことだから、それから15年も経っている。

映画『不都合な真実』のアル・ゴア氏
元大統領候補ゴア氏は映画の中でこう語った。
「平均気温は上昇を続け、最高記録は塗り替えられ、2005年は最も暑い年でした。温暖化の原因はわれわれ人間にあります。(積雪が減少している写真を示し)これはパタゴニアの75年前と現在の姿です。これはキリマンジェロの30年前と昨年の比較。今後10年で雪は姿を消すでしょう。これは政治的な問題ではなくモラルの問題です。温暖化は世界中で進行し、嵐は強大化する一方です。これは史上最悪の事態です。ハリケーン“カトリーヌ”はニューオリンズに上陸。テロ以外の脅威に立ち向かう準備は? 北極の氷は急速に溶け出し、やがて海面は6メートル上昇します。フロリダは水没し、犠牲者は上海で4000万人、カルカッタで6000万人。世界貿易センター跡地も海の底です。避難民の数はやがて1億人に達するでしょう。地球規模の危機に対処すべきです。われわれはいま絶滅の危機にあるのです」
そのゴアは2000年の大統領選挙でブッシュに敗退し、政治の舞台から去り地球温暖化問題で世界中を行脚することになった。ブッシュ米大統領がイラク戦争に多大な過ちを犯したのは誰もが知っているが、実はもっと大きな過ちをずっと続けているのだ。「京都議定書」を無視して地球温暖化政策を怠っている問題である。
安倍首相はこの映画を見て「チェイニー副大統領との会談で話す」などと言っていたが、チェイニー副大統領はその話を聞いて急に不機嫌になったという。アメリカのブッシュ政権にとってこの問題は、自国の経済を犠牲にするものとして捉えているのではないだろうか。そして産業界との蜜月の政権の屋台骨を揺らがせるほど危険なテーマなのである。
しかし、現実的に全世界の二酸化炭素排出量の4分の1がアメリカによるものであるから、アメリカが環境問題に前向きに立ち上がらなければ地球温暖化問題を根本的に解決することは不可能である。アメリカはブッシュ政権である限り、決して環境問題に正面から取り組むことはないかもしれない。自らの面子をかけたイラク戦争への取り組みより、この問題こそ解決しなければならないのではないだろうか。








