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2007年02月22日

環境問題でアメリカは「京都議定書」に参加すべき

 旧聞で申し訳ないが、昨年末に東京・日本橋の三越本店で開催された「2006年 報道写真展」を覗き、大雪にはじまり地すべり、竜巻など地球の自然に関わる出来事が続いたことを思い出した。ところが今年は暖冬で、東京では初雪のないままに春一番を迎えるという状況。地球がおかしくなっている。環境問題が現実問題として、われわれの日々の生活を襲い始めていることを実感せざるを得ない。


 日本を含め世界の国々で、地球の温暖化を防ごうとして「京都議定書」なるものを取り決め、それぞれの国が二酸化炭素の輩出を抑える努力をしようと決めている。具体的には、先進国等に対し、温室効果ガスを1990年比で、2008年~12年に一定数値(日本6%、米7%、EU8%)を削減することを義務づけている。


 しかし、大国アメリカがこの議定書にソッポを向いたのだ。脱退を決めてしまったのである。いろいろな利害関係の末に決めたことだろうが、納得がいかない。アメリカだけが自ら吐いた唾の被害に遭うのは構わない(失礼!)が、全地球的問題になるのは必至のことである。


 そのアメリカの元副大統領のアル・ゴア氏が熱心に、地球温暖化の危機を説いて回っている。その映画が1月20日から放映され評判を呼んでいる。彼のスライド講演をドキュメントした映画『不都合な真実』は、われわれへの警告とともに、地球の歴史でやがて訪れる氷河期を想起させるものであった。


 キリマンジェロの雪は解け、北極の氷が薄くなって、世界各地でハリケーンや台風をはじめとする異常気象が続いている。北極はこの40年間に40%縮小し、今後、50~70年で消滅するとまで言われいるのだ。ゴア氏が地球温暖化防止のために、『地球の掟 文明と環境のバランスを求めて』という著書をまとめたのが92年のことだから、それから15年も経っている。


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映画『不都合な真実』のアル・ゴア氏


 元大統領候補ゴア氏は映画の中でこう語った。


「平均気温は上昇を続け、最高記録は塗り替えられ、2005年は最も暑い年でした。温暖化の原因はわれわれ人間にあります。(積雪が減少している写真を示し)これはパタゴニアの75年前と現在の姿です。これはキリマンジェロの30年前と昨年の比較。今後10年で雪は姿を消すでしょう。これは政治的な問題ではなくモラルの問題です。温暖化は世界中で進行し、嵐は強大化する一方です。これは史上最悪の事態です。ハリケーン“カトリーヌ”はニューオリンズに上陸。テロ以外の脅威に立ち向かう準備は? 北極の氷は急速に溶け出し、やがて海面は6メートル上昇します。フロリダは水没し、犠牲者は上海で4000万人、カルカッタで6000万人。世界貿易センター跡地も海の底です。避難民の数はやがて1億人に達するでしょう。地球規模の危機に対処すべきです。われわれはいま絶滅の危機にあるのです」


 そのゴアは2000年の大統領選挙でブッシュに敗退し、政治の舞台から去り地球温暖化問題で世界中を行脚することになった。ブッシュ米大統領がイラク戦争に多大な過ちを犯したのは誰もが知っているが、実はもっと大きな過ちをずっと続けているのだ。「京都議定書」を無視して地球温暖化政策を怠っている問題である。


 安倍首相はこの映画を見て「チェイニー副大統領との会談で話す」などと言っていたが、チェイニー副大統領はその話を聞いて急に不機嫌になったという。アメリカのブッシュ政権にとってこの問題は、自国の経済を犠牲にするものとして捉えているのではないだろうか。そして産業界との蜜月の政権の屋台骨を揺らがせるほど危険なテーマなのである。


 しかし、現実的に全世界の二酸化炭素排出量の4分の1がアメリカによるものであるから、アメリカが環境問題に前向きに立ち上がらなければ地球温暖化問題を根本的に解決することは不可能である。アメリカはブッシュ政権である限り、決して環境問題に正面から取り組むことはないかもしれない。自らの面子をかけたイラク戦争への取り組みより、この問題こそ解決しなければならないのではないだろうか。


2007年02月15日

六カ国協議の合意で日本の立場が守れるのか

 去る2月13日、日米北中韓ロによる6カ国協議が終了し、北朝鮮核停止と重油支援100万トンを主とする合意文書が採択された。そして、米朝間ではアメリカによる北朝鮮のテロ支援国家指定解除と対敵国通商法適用終了の作業の開始が約束され、日朝間では国交正常化協議の開始が謳われた。


 当初200万トンを要求していた北朝鮮の狡猾な交渉術を目の当たりした。100万トンの提示にも、北朝鮮の金桂寛外務次官は「私の一存で、これをすぐのめというのか」と嘯(うそぶ)いたという。茶番劇である。アメリカはそれ以下の数字を用意したにもかかわらず、北朝鮮の戦術に負けた。北朝鮮の200万トン要求をウラ読みすれば、満額回答として100万トンをそもそも期待していたのではないか。そのための200万トン要求であり、茶番劇であったのではないか。


 さらに北朝鮮に不利な核兵器など具体的な文言は一切使われなかった。ましてや拉致問題などはまったく関係なかった。すでに解決済みとする北朝鮮から、そのような言葉が出るはずがない。それを引き出せるような協議でもなかった。議長国となった中国の面子もある。アメリカの中国への配慮とイラク戦争の失敗からの政治力回復の舞台でもあった。韓国とロシアは「まるく収まれば」というものだろう。


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六カ国協議の合意を伝える朝日新聞


 しかし、アメリカは94年に北朝鮮と結んだ「枠組み合意」を03年に完全に反故にされたことを覚えていないのだろうか。


 北朝鮮は86年1月に黒鉛炉の運転を開始、核兵器開発に着手し、89年春以後に燃料棒を再処理し、核兵器1~2発分に当たる6~12キロのプルトニウムを抽出したとみられた。それでアメリカは94年10月の米朝枠組み合意を行った。アメリカは目標年の2003年までに約2000メガワットの発電総量を持つ軽水炉を北朝鮮に提供することとそれまでのエネルギー供給を引き換えに、北朝鮮は同炉の運転を停止した。


 しかし、北朝鮮はというと、03年1月に核拡散防止条約(NPT)脱退を宣言したのを機に再稼働させ、同年10月、05年5月の2回、8000本の燃料棒を抜き出して再処理、プルトニウム抽出作業を実施したのである。そして昨年、北朝鮮は核実験に踏み切ることで「核保有国」になり、「核カード」を持ったのである。まさにこの二の舞外交ではないか。


 国家の維持が瀬戸際に立たされた北朝鮮の「チキンゲーム」は今に始まったのものではないが、まさにゴネ得の様相である。合意文書の採択は決して評価されるものではない。日本を除く4カ国の思惑として、日本の拉致問題は決して最優先されるものではなかったのである。かろうじて日本の立場は、重油5万トンの援助に対しては、調査にとどまり当面は負担しないことで守られたものの、この後の展開は日本への逆風は避けられないものとなってきた。


 そこで安倍政権がどのような対応を見せるかである。「拉致問題の解決なくして経済制裁の解除は考えられない」としてきた態度にブレが出ないかである。拉致問題を最優先させると言いながら、中国を意識したアメリカの北朝鮮への負担参加の忠告(?)に流されることこそ、最も危惧しなければならない。いまのアメリカは日本の立場より中国の思惑の方に味方するのではないだろうか。米ブッシュ政権の保守派には「中国の台頭を認めることは日本の存在異議の低下を意味する」との構図が定着しつつある。


 日本は今後の対北朝鮮の対応をどうするのか。本当に日朝会談が独自に組まれることがあるのか。合意文書には明文化されたとしても、北朝鮮は会談の席に座らないのではないだろうか。その理由として、なりふり構わずいろいろとあげつらってくるだろう。日本の前向きな態度がないなどと言って日朝会談はなかなか開かれない。これまでの北朝鮮の対応を見ればわかる。そんななかで他の4国に自らの立場を理解させることが、安倍首相にできるかである。いや、これだけは是非ともやってもらいたい。そして、拉致問題の本当の解決をめざして欲しいものである。

2007年02月09日

2.7北方領土返還要求で安倍政権が問われているもの

 平成19年2月7日、安倍首相は「北方領土返還要求全国大会」(東京千代田区・九段会館)で「北方領土問題は私の父の悲願でもあった。私はその遺志を継いで北方領土返還の実現に向かって頑張っていきたい」と述べた。この大会は、昨年12月に麻生太郎外務大臣が「北方四島全体の面積を日露両国で等分する」案について、前向きな発言を行ったあとだけに注目されていたが、参加者からの反対意見が述べられただけで政府の明確な方針が打ち出されることはなかった。


 2月7日というのは、1855年2月7日の日露和親条約で北方領土が日本の領土として認められたことに因み、1981年に「北方領土の日」と制定されたことから、毎年この日に北方領土返還要求全国大会が開かれるようになったのである。

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2007年2月7日撮影/李・イセシク(ユージノサハリスク在住のフォト・ジャーナリスト)


 小泉前首相はというと、平成16年の同大会に出席して、「昨年、私はプーチン大統領と3回会談し、プーチン大統領も、この北方四島問題を解決して、日ロ平和条約を締結することが、日本だけでなくロシアにとっても利益になることを認識している、との感触を得た。日本とロシアが正常な関係になってこそ、潜在的な、大きな可能性を秘めた日ロ関係が飛躍的に発展をすることを、ロシアの政治指導者から国民にまで広げていかねばならない」と述べながらも、その後ほとんど進展を見せることなく政権を終えてしまった。実際にそれ以後の2年間、風邪や国会審議を理由に小泉前首相はこの大会を欠席している。今後の安倍首相の真摯な取り組みを願うばかりである。


 ところで麻生発言というのは、「北方領土を半分にしようとすると、択捉島の約25%と、残り三島をくっつけることになる。面積も考えず二島だ、三島だ、四島だというのでは話にならない。現実問題を踏まえて交渉に当らなければならない」というものだ。『北方領土問題』で大佛次郎論壇賞を受賞した岩下明裕北海道大学教授の「日露国境フィフティ・フィフティ論」あたりから一部の政治家や専門家が語り始めたものである。お互いにいつまでも変わることのない主張を続けていても仕方がない。北方領土を2等分することで、「択捉・国後・歯舞・色丹」の4島(択捉島だけ4分の1だが)を返還するという形になるというもの。さらに麻生外相は「ロシアのプーチン大統領は強い権力をもち、領土問題を解決したい意欲もある」とも述べている。


 ロシアのプーチン大統領がはたしてどれだけ「北方領土問題の解決」に熱心なのかは判らない。これまでのロシアの対応は、決してそう断ずることはできないものである。狡猾なロシアを相手にして、北方領土の2等分返還自体も難しいものがある。先の岩下教授は朝日新聞紙上(2006年12月13日夕)でこう記している。


「04年10月、中ロが、それが原因で60年代末に軍事衝突まで惹き起したアムール河とウスリー河の三角州を『フィフティ・フィフティ』の原則で分け合ったと聞いたとき、耳を疑った。(中略)中ロが相互に譲歩しえた最大の理由は、60年代前半の交渉失敗が後の軍事衝突に直結した鮮烈な記憶を持つからだ。『全てかゼロか』。譲歩なき闘いは戦争に至る。(中略)しかし、中ロのケースと違い、両政府が決断しえないのは、皮肉なことだが、日ロが北方領土をめぐり軍事衝突した過去も(おそらく将来の可能性も)ないという点にありそうだ」


 だが、果たしてこの2等分返還論に与(くみ)すべきなのか。「北方領土は日本固有の領土」とする日本政府の見解とは大きくかけ離れているのではないだろうか。戦後の北方領土の占有問題についての日ロの歴史は紆余曲折あるものの、日本の主張は1歩前身半歩後退、半歩前身1歩後退の連続であった。


 果たして、この北方領土の2等分返還論に対して安倍政権はどのような所見を持っているのか、麻生外相の許容したような答弁についての明確な立場を求めたい。小泉前首相はこの問題に関して、最後まで基本スタンスを持っていなかったように思われる。四島一括返還、歯舞・色丹の二島返還、二島先行返還、北方領土2等分返還とさまざま意見が出る中、安倍政権は基本スタンスをどこに置くのであろうか。

BRICsの次はVISTAが注目――活況を呈したベトナム投資セミナー

 2003年にゴールドマンサックスのレポートの中でBRICsの名を使って、世界の投資家の注目がブラジル、ロシア、インド、中国に集まることを予測した。世界経済を牽引する新たな国々としてのこれらの国々名を挙げたのである。


 現在、市場ではこのBRICsに次ぐ国々として、VISTAの国々が注目され始めているという。VISTAとは、ベトナム、インドネシア、南アフリカ、タイ、アルゼンチンの国々である。BRICsの国々と比べると、まだまだ潜在的要素が多いが、今後の投資市場として注目しておくべき国々であることに間違いない。また東南アジアにおけるシンガポールの発展に関しても、「竹村健一の世界の目~小国シンガポールがなぜ東南アジアGDP1位なのか~」に書かれているように瞠目すべきものがある。


 そんななか、今年の1月30日の名古屋に始まり、31日の金沢、そして2月2日に東京で「ベトナム投資セミナーが」が日本アセアンセンターとベトナム社会主義共和国(計画投資省)の主催(東京のみシンガポール経済開発庁も共催)で行われた。東京会場では400人弱の参加者が、ベトナムの投資状況とベトナムとの連携をもつシンガポールの状況について情報について聞き入っていた。


 日本アセアンセンター赤尾信敏事務総長、チュー・トアン・カップ駐日ベトナム大使に続き、ベトナム計画投資省グェン・ビック・ダット副大臣、シンガポール経済開発庁リム・ション・グォン長官の基調講演。そしてWTO加盟後のベトナムの投資環境などが説明された。また、JICAの海外投資アドバイザーの市川匡四郎氏がベトナムの投資実態を多くの事例を挙げて説明。また現在ベトナムに投資し現地工場などを経営する企業からも、多くの事例が報告された。


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開会の挨拶をする日本アセアンセンター赤尾信敏事務総長
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チュー・トアン・カップ駐日ベトナム大使
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スライドを多用してベトナムへの投資条件を説明


 日本のベトナム投資は03、04年頃から急激に増加している。国際協力銀行(JBIC)の2006年の調査によると、日本企業が投資を行う上で世界で3番目に潜在的可能性が高い国としてベトナムが評価されている。ベトナムにおける日本企業のプロジェクトは、現在735件(全体で6800件、登記資本金は600億ドル)で、30を超える大手企業グループが進出している。


 また、06年は137件の新規投資が見られているが、日本の企業のベトナムへの関心度の高さはここ数年は続くものと考えられる。まさに1995年の第1次ベトナムブーム以来の勢いである。昨年から電子機器関係の投資が増加している。特に部品産業と組み立て産業の連携の投資形態が増えているのが現状。ベトナムの産業自体は、「チャイナプラス1」を目指して伸張している。また近年、シンガポールやタイなどへの進出企業との連携がクローズアップされている。これらの国の投資法では、海外企業からの投資に関してさまざまな障壁が取り払われている。


 ベトナムの魅力としては、安定した政治体制をベースにして経済環境、優秀で器用、勤勉で廉価な労賃、そして30歳以下が国民の70%という豊富な労働力、の5つのポイントが上げられている。もちろん、廉価な労賃については今後適宜推移するだろうが、他の4つの好条件は変わることがない。 


 いますぐにBRICsを凌駕することはなかなか難しいだろうが、VISTAは潜在的な可能性が高い国として注目を浴びるだろうし、ベトナムの経済発展に対する期待は大きいものがある。